共済組合担当者のための年金ガイド
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- 【第104回】2025年2月号
基礎年金の年金額、2年連続で過去最高に!
ただし、物価の上昇に追いつかず!
~令和7年度の年金額、一挙掲載(1)~
令和7年度の新しい年金額についての情報が、厚生労働省から1月24日(金)に公表されました。
令和7年度の基礎年金の年金額・在老の支給停止基準額
これを踏まえると、令和7年度の基礎年金の年金額(満額)・在職老齢年金の支給停止基準額・令和8年度の国民年金の保険料は、【図表1】のとおりとなります。

既裁定者(68歳以上の人)の基礎年金の満額は、2本立て
昨年(2024年)2月号でも述べましたので、詳細は2024年2月号をご覧いただくとして、老齢基礎年金の年金額(満額)は、67歳以下の新規裁定者の年額が831,700円、68歳以上の既裁定者については、2本立てとなり、68歳・69歳の既裁定者は新規裁定者と同額の年額831,700円、70歳以上の既裁定者は年額829,300円となります(【図表1】参照)。
また、障がい等級1級の障がい基礎年金は、障がい等級2級の障がい基礎年金の年金額の1.25倍となりますので、昨年度と同様、100万円を超えることになります。
既裁定者①(70歳以上:昭和31年4月1日以前生まれの人)、既裁定者②(69歳:昭和31年4月2日から昭和32年4月1日生まれの人)・既裁定者③(68歳:昭和32年4月2日から昭和33年4月1日生まれの人)、新規裁定者(67歳以下:昭和33年4月2日以後生まれの人)と障がい基礎年金の1級・2級の人の年金額を一覧表にまとめると【図表2】のようになります。

なお、障がい厚生年金の障がい等級3級の最低保障額(年額)と障がい給付金(「障がい年金生活者支援給付金」のこと)の金額(月額)は、【図表3】のとおりとなります。

年金額の改定の基本ルールについて
さて、簡単に、年金額改定の基本ルールについて、再確認しておきましょう。
単純に言葉で言い表わすと、【図表4】のようになります。
【図表4】年金額改定の基本ルール
(1)新規裁定者は賃金変動、
既裁定者は物価変動をベースに改定
(2)物価変動>賃金変動の場合は、
既裁定者も賃金変動をベースに改定
【出典】 | 2020年12月25日に開催された社会保障審議会年金数理部会 『令和元(2019)年財政検証に基づく公的年金制度の財政検証(ピアレビュー)』3頁 |
イメージ図で示したほうがわかりやすいかもしれません。
【図表5】【年金額の改定(スライド)の基本ルール(現行制度)】では、令和元年度以降の年金額の改定についても、どのパターンが適用されたのかも、書き加えてありますので、ご参照ください。

令和7年度の年金額の改定について
令和7年度の年金額の改定については、【図表6】のとおりとなります。

まず、第Ⅰ段階で、「物価変動率」(以下、「物価」と記す)と「名目手取り賃金変動率」(以下、「賃金」と記す)を比べます。
「物価」は2.7%、「賃金」は2.3%です。
第Ⅱ段階では、「年金額の改定(スライド)の基本ルール(現行制度)」(【図表5】参照)に当てはめ、どのパターンに該当するかを定めます。「物価」(2.7%)>「賃金」(2.3%)ですので、令和7年度は、令和6年度と同様に、既裁定者(68歳以上の人)も新規裁定者(67歳以下の人)も、「賃金」(2.3%)により改定することになります。
第Ⅲ段階では、マクロ経済スライドを発動するかどうかを検討します。
マクロ経済スライドの調整率を求めると、マイナス0.4%(指数で0.996)となりました(計算式は【図表6】参照)。
「賃金」が2.3%ですので、マクロ経済スライドの調整率はフル発動されます(繰り越す分、つまりキャリーオーバーする分はない、ということ)。
第Ⅳ段階で、令和7度の年金額の改定率を算出します。
令和7年度の年金額の改定率は、「賃金」(指数で1.023)✕「マクロ経済スライドの調整率」(指数で0.996)=1.9%(指数で1.019)と求められました。
したがって、年金額の改定率は、既裁定者(68歳以上の人)も新規裁定者(67歳以下の人)も、1.9%ということになります。
令和7年度の国民年金法の改定率と基礎年金の年金額を求める
令和7年度の基礎年金の年金額を求めるためには、令和7年度の国民年金法の改定率を求めなければなりません(【図表7】【図表8】参照)。


なお、計算式の考え方ですが、令和6年2月号に記した内容と同じになりますので、令和6年2月号をご参照ください。
令和7年度の厚生年金の定額単価について
令和7年度の厚生年金の定額単価については、【図表9】【図表10】に示したとおりとなります。
改定率は、新規裁定者が「1.065」(基礎年金を求める際に使った国民年金法の改定率と同じ。冒頭の【図表1】参照)、既裁定者が「1.062」で、基礎年金を求める際に使った国民年金法の改定率と同じです(冒頭の【図表1】参照)。


令和7年度の「子の加算」「配偶者加給年金額」について
令和7年度の「子の加算」「配偶者加給年金額」は【図表11】のとおりとなります。
算出方法ですが、令和6年3月号に記しております。同じ内容になってしまいますので、令和6年3月号をご参照ください。

令和7年度の「経過的寡婦加算の額」「振替加算の加算額」について
なお、「経過的寡婦加算の額」(【図表12】)「振替加算の加算額【図表13】」を掲載しておりますので、あわせてご参照ください(算出の考え方は、令和6年(2024年)3月号に記しております)。
最後になりますが、年金額を求める際に必要な指数等を一覧表(【図表14】)にまとめてありますので、必要に応じ、ご参照ください。
