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「健康日本21地方計画」推進活動モデル事例
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河内音頭踊りで健康町づくり
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大阪府柏原市 人口:76,881人 高齢化率:15.4% 保健師数:9名
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1. 柏原市の概要
2. 事業の背景
3. 事業の内容
4. 感想及び反省点
5. 今後の課題
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柏原町の概要
   柏原市は,大阪府の中央東部で都心から20kmに位置し,東は信貴生駒山系を隔てて奈良県と接し,西は藤井寺市,南は羽曳野市,北は八尾市に隣接しています。市域は,東西6.60km,南北6.63km,面積は25.39km² です。
 気候は,大阪湾からの海風の影響を受けて比較的温暖であり,年平均気温は16℃ 前後,年間降水量は1,300mm程度です。
 地勢は,東部に信貴生駒山系,西部に大阪平野があり,山地から低地へと高低差に富んでいることが特色で,市域の約65%が山地で占められ,平地は約35%となっています。
 また,市域中央を府下で2番目に大きい大和川が市域を二分する形で東から西に流れており,これに石川が南から合流しています。
 このように緑の山々と美しい川の流れに恵まれ,四季の表情が豊かな都市となっています。
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事業の内容
   生活習慣病は,不規則な生活や偏った食事・運動不足などが原因で引き起こされます。これまで,生活習慣病は中高年の疾病と考えられてきましたが,ここ数年,発症の低年齢化や若年層での予備軍の存在が指摘されています。この予防には,生活習慣の改善が最も重要と思われます。
 柏原市の平成13年3月の調査では,健康に対する意識としては77.4%もの人が自分の健康に「気を配っている」,「ある程度気を配っている」と答え,「健康志向」という世相を反映した結果が得られています。しかし,普段の食生活では,「間食や食事を抜くなどの不規則な食生活」が63.7%にものぼり,意識と生活習慣に大きなずれが認められます。
 そこで,「健康かしわら21」(平成15年2月策定)に基づき,気軽に市民自らが取り組める健康づくりとして,昔から河内地方を中心とする郷土文化としての「踊り」・「唄い」を基に市民に根づいた河内音頭が市民にとって身近なものであると考え,「河内音頭踊りが健康づくりにいかに有効か」を科学的に論証し,「健康なまちづくり」を提案し,また,この運動を通して市民の健康づくり運動の支援・地域おこし・地区組織の活性化・地域産業の活性化・勤労者を含む市民の健康管理・医療費の適正化などを期待し,この事業を実施しています。
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事業の背景
space 事業の柱
 
1. 河内音頭が,科学的に健康にとって効果があることを検証する。
2.「河内音頭で健康づくり応援団」養成講座(ヘルスプロモーション理論に基づく)
  の開催
3.「河内音頭で健康づくり応援団」の実施する健康づくり活動を支援する。
4.「河内音頭で健康づくり応援団」を通して,地域おこしや地域産業の普及・促進・
  健康づくりの啓発活動を実施する。
5. 河内音頭の健康効果を実証して普及させることで,医療費の適正化につなげる。
6. その他
   
space 事業の流れ
space 準備期:平成14年度
 
○ 大阪教育大学(保健体育講座) 三村寛一教授の協力を得て,計画などについて検討会
 を開催
○10年以上の踊り経験者グループ(ボランティア参加)による実験I(踊り前安静時,
  30分の踊り中,踊り後安静時の呼吸数・心電図・心拍数・脳波の変化を測定)と
  実験II(エルゴメーター時,ウォーキング時の・心電図・心拍数・呼吸数・呼気中の
  CO²,自覚的運動強度他の測定)を実施
   
space 第一期:平成15年度
 
○ 河内音頭が科学的に健康にとって効果があることを検証する。
○「河内音頭で健康づくり応援団」の養成
   
space 第二期:平成16年度
 
○「河内音頭で健康づくり応援団」の養成
○「河内音頭で健康づくり応援団」支援活動の取り組み
 →学習会の講師派遣やボランティア活動のコーディネーター・相談役・活動の
 推進役等を支援する
○ 地域活動支援・啓発(イベント・シンポジウムなどの開催)
   
space 第三期:平成17年度
 
○「河内音頭で健康づくり応援団」の養成
○「河内音頭で健康づくり応援団」支援活動の取り組み
○ 地域活動支援・啓発(イベント・シンポジウムなどの開催)
○ 研究成果のまとめ
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space 河内音頭で健康づくり応援団養成講座の概要
 
講座名 河内音頭で健康づくり応援団養成講座
期 間 7月〜8月(約30時間)補習として9月〜10月(約24時間)
実施会場 保健センター
内 容 ・生活習慣病とその予防・歯の健康(健康体操など)
・健康づくりと生活記録表(健康プランの作成)
・河内音頭おどり・ゆかたと柏原・地域における
 健康づくりボランティア活動・その他
申込数 24人
参加実人数 24人(延べ152人)
健康づくり応援団証の発行 22人
ボランティア登録数 20人→9月に「河内音頭ふれあいの会」結成
従業者 医師,保健師,管理栄養士,看護師,運動指導士,歯科衛生士,踊り講師など
   
space 健康づくり応援団とは?
 
 健康づくり応援団とは「健康づくりを支援するボランティア」 です。これは,地域ぐるみで健康増進運動を支援する目的で活動する個人及び団体です。
 「健康かしわら21」は,健康寿命の延伸などを実現するために,2011年を目途とした具体的な目標などを提示することにより,健康に関連する全ての関係機関・団体などをはじめとして,市民が一体となって健康づくりを推進し,市民の意識の向上及び取り組みを促そうというものです。
 この応援団は,運動・食生活・こころの健康・アルコール・歯の健康・たばこ・病気の予防などの分野に詳しかったり,関心がある人たちが中心になり,健康づくり運動を行います。応援団が目指す健康づくり運動は,若年層を含めて幅広い層が運動に参加し,自分だけでなく周囲の健康まで気遣う人の輪を広げ,市民全体の運動に盛り上げることです。
   
space 「河内音頭ふれあいの会」健康づくり応援団の活動
   河内音頭ふれあいの会メンバーで考案された「座って踊る河内音頭」を健康体操として取り入れ,お年寄りとのふれあいを大切にしながら,出前でこの体操を広めています。
 イベント参加としては,社会福祉協議会主催第15回ふれあい広場にて,大阪府国民保険団体連合会の協力を得て,子供からお年寄りまで誰もが簡単に参加できる健康体操として「座って踊る河内音頭」を披露しました。
 また,地域のふれあいサロン(高齢者対象)や高齢者福祉施設などでも「座って踊る河内音頭」を披露し,高齢者にも踊りに参加していただくことで,転倒予防や寝たきり予防に結びつけるなど,高齢者の健康づくりに貢献しています。
 ふれあいの会の今後の活動は,保育所などの園庭開放の場で健康づくり親子体操として,また,染色などの地場産業振興の一助として,商工会を通じて「河内音頭ハッピ」考案など種々の取り組みを予定しています。健康かしわら21推進委員会では,引き続きこれらの活動の支援と大阪教育大学との共同研究をすすめ,その成果についてシンポジウム開催などで公開する予定です。
 平成16年度には大阪府国保連合会の協力を得て,同連合会の「健康教育普及推進事業」個別健康教室の手法を取り入れながら養成講座を更に充実させる予定です。
   
space ふれあいの会学習会の内容
 
1. 高齢者の特徴とは
2. 転倒予防と寝たきり予防
3. 地域での音楽遊び(音楽療法)
4. 座って踊る河内音頭の考案
5. 柏原市の母子保健の現状
6. 柏原市の介護保険について
7. 痴呆とその予防
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感想及び反省点
  ○ボランティアの養成講座についての認識を確認しながら毎回の講座を行っていますが,
 参加者の認識にばらつきがあり,今後の活動認識に期待したいと思います。
○ボランティアの参加により,スムーズに教室を運営できました。
○事前準備が十分にできず,予定内容が多くあり,今後の活動支援で補っていきたい。
○河内音頭おどりの実習を十分取り入れ,行うことで,「運動習慣が増えた」との意見が
 ありました。
○教育大学の協力で体力測定を実施していますが,科学的データを今後も積み重ねていく
 必要があります。
○講義形式より参加型体験形式を中心に計画しましたが,グループワークについては
 なかなか意見が出ず,受動的行動が多くみられました。参加者の主体性が引き出される
 ように努めていきたい。
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今後の課題
   河内音頭ふれあいの会の健康づくりボランティア活動は,地域大学の指導や協力・商工会との連携,地域の子育て支援などと,市民自らの活動としての広がりをみせており,益々多種多彩になろうとしています。健康かしわら21推進委員会は,今後,その活動を見守り,支援しながら他の健康づくり支援団体と共に地域での健康づくり事業を進める必要があります。
 これらのことから,健康づくり事業は,市民の自由な活動を促すと共に,「町づくり」に視点をおいた体制づくりが事業の展開を広げるものと考えます。
 今後,健康づくりボランティア(健康づくり応援団)の支援に先立ち,健康づくり応援団協議会(仮称)や健康づくりネットワーク(仮称)の構築に向けて事業を推進していくところですが,健康かしわら21推進委員会のファシリテーターとしての活動が円滑に進む行政上の方策や体制づくりが必要です。
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調査員:全保協常務理事 山田 喜久夫   ヘルスケア総合研究所 正代 剛一
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