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介護予防活動モデル事例
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健康なみおか21
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岩手県藤沢町 人口:10,313人 高齢化率:31.3% 保健師数:5名
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介護予防活動モデル事例
1. 藤沢町の概要
2. 事業の背景
3. 事業の内容
4. 成果と課題
「健康日本21地方計画」推進活動モデル事例
1. 事業の背景
2. 事業の内容
3. 成果と課題
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藤沢町の概要
   藤沢町は,岩手県の南端に位置し,北に千厩町と川崎村,西に北上川をはさんで花泉町,東に室根村,南東に宮城県東和町と本吉町のそれぞれに接し,両磐広域市町村に属しています。
 昭和30年4月,旧藤沢町と黄海村と八沢村と大津保村(津谷川は室根村に合併)の4ヵ町村が合併し,現在に至っています。町の大きさは東西16.0km,南北が14.7kmで,面積は123.15km²で,町土の約60%が南部北上山系に連なる山林です。
 産業は,複合経営を中心とする農業が基幹産業ですが,近年では,大規模な基盤整備に加え,誘致企業の進出により,農業と商工業が調和した町づくりを進めています。
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事業の背景
   藤沢町は,病院,保健センター,介護予防センター,在宅介護支援センター,特別養護老人ホーム,デイサービスセンター,グループホーム,老人保健施設,訪問看護ステーション等を備えた福祉医療センターを設置しており,全国に先駆けて当該施設を中核とした福祉医療サービスの充実を図ってきました。その一方で,介護保険制度が施行されるとともに,益々高齢化が進展し,高齢者の健康づくりが重要になってきています。
 このような状況において,現在,町内に自主的な介護予防を目的とした会が数多く発足しています。介護保険施行当時,町にあるNPO法人「ボランティアセンター」において,一地域でミニデイサービスを立ち上げました。しかし,各自に交通手段をお任せしていたため,遠隔地の人が通いづらいという問題が生じました。この点について,ある人が自治会の役員会で問題提起したことがきっかけとなり,この自治会で高齢者による月1回のお茶会を立ち上げることになりました。日中一人で留守番をしている高齢者や,一人暮らしの高齢者が,住み慣れた地域の中で,元気に暮らし続けるための集いや語らいの場として,地域の自治会独自で「お茶っこ飲みの会」を立ち上げ,仲間づくり,生きがいづくりを目指しています。
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事業の内容
   無理のない範囲で長続きさせるようにと,開催回数は月1回を基本とし,参加者の希望を軸に町の介護予防センター等と連携を図りながら実施している他,自治会員登録制による「まぶる会」を結成し,3人1組の輪番制による見守り支援体制をとっています。
 また,保健センターでは,平成14年度,町内10地区の健康センターにおいて,「60 歳からの元気応援教室」を実施し,地域での介護予防事業のきっかけづくりの場としました。転倒予防体操,歯科健康講話,料理実習をメニューとし,各地区の保健推進員,食生活改善推進員,自治会長,老人クラブの関係者にも案内状を出しました。
 その後,このような動きがきっかけとなり,町のあちらこちらに色々な形で中高年者によるお茶会などの自主グループが発足し,現在,定例で開催しているグループが17グループとなっています。自治会で立ち上げたグループ,老人クラブが中心となっているグループ,気の合う者同士で集まっているグループ,温泉仲間同士で集まっているグループ等多種多様のグループが発足しており,スタイルは全て住民にお任せしています。内容は,話し語り,入浴,保健師による健康相談や健康講話,ボランティアや人材登録者による踊りや体操,手芸,演劇,町職員による歴史や介護保険についての学習会,料理教室など様々です。
 また,自分たちの楽しみから一歩前進して,地域集会所の草取り,身よりのない人の墓掃除,80歳以上の人へのふれあい弁当の提供といったボランティア活動を行っているグループもあります。開催回数は,月1回程度を基本としています。交通手段は各自にお願いし,会員制で運営しており,参加者の多くが,無理のない範囲で楽しみとして参加しています。
 行政としては,このような住民の活動を,介護予防センターが開催する地域ケア会議を中心に支援しています。会議には,地域のお茶会グループの代表,役場関係課(自治振興推進室,生涯学習課,介護支援センター,シルバーセンター,保健センター),関係機関(NPO,社会福祉協議会)が参加し,各グループの代表者からはそれぞれのお茶会の様子の紹介と課題,関係課や関係機関からは提供できるサービスメニューの紹介を行っています。
   
  お茶会メニューの内容
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メニュー 内 容
生き生き教室 ゲームや紙芝居,昔話等を通じた生き生き教室,家族介護教室
生き生き教室 民謡等を通した楽しい生き生き教室
生き生き教室 習字などを通じた生き生き教室
高齢者の体力測定 簡単な4項目について測定し,結果判定とアドバイスを行う
健康体操 筋力アップ,ストレッチ,身近にできる運動などを行う
玄米ニギニギ体操 ニギニギ棒を使って体操を行う
健康講話 生活習慣と健康,転倒予防,食生活など
高齢者食生活改善 調理実習を通し,食生活の内容や炊事などの役割をもつことについて学習する
健康相談 血圧,体脂肪測定,その他総合健康相談
グループワーク 楽しく自分史について話し語りを行う
   
   新たにお茶会を立ち上げようとしている人たちにも見学してもらい,立ち上げのための支援の場にもなっています。実際,各種メニューを利用するにあたっては,介護予防センターが中心となって,講師との交渉や財政的支援を行っています。介護予防センターは保健センター内にあり,保健師が1名配属されています。健康推進係の4名の保健師と連携をとりながら,事業を効果的に支援しています。また,町内には44の自治会があり,町の職員全員による地域分担制がとられていて,役場関係課や関係機関と連携がとりやすい体制ができています。
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  お茶会の活動内容
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space おしゃべり活動
  茶飲み話に花を咲かせ,おしゃべりを楽しみ合いながら,笑い声がたえない明るいおしゃべり活動
  利用者の心配事の解決のための話し合い
     
space 学習活動
  保健師による健康学習,警察官による交通安全・防犯の話,消防署員による防災の話,救急救命の話など
     
space 趣味・娯楽活動
  手芸,囲碁,将棋,トランプなど室内で出来る活動
  カラオケ,謡曲,詩吟など声を出す活動 など
     
space 体操など身体を動かす活動
  転倒予防体操,玄米ニギニギ体操 など
  ニチレクボールなどニュースポーツ など
     
space 伝承活動
  昔の子どもの遊び〜思い出してやってみよう
  昔の料理〜思い出して作ってみよう
  昔話〜思い出して語り合ってみよう
     
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成果と課題
   このように,地域に中高年を中心としたお茶会などの自主グループが数多く出来ていることで,地域のお年寄りの楽しみが増え,安心感が生まれています。また,地域住民の高齢者に対する関心が増しています。健康寿命の延伸には,生活習慣病対策も重要ですが,住民がお互いに支え合いながら生活していくことも重要です。今後も,町では住民主体の活動を側面から支援していきたいと考えています。
 課題としては,地区によってお茶会グループがうまく立ち上がるところと,そうではないところがある点です。地区にリーダーとなる人がいれば,スムーズにお茶会グループが立ち上がるのですが,そうでないところはなかなかうまくいきません。今後は,グループがない地区にもお茶会グループが立ち上がるよう,行政としても積極的に支援していきたいと考えています。
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「健康日本21地方計画」推進活動モデル事例
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住民と共に策定した健康づくり計画に基づいた事業の推進
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事業の背景
   当町においては,健康日本21計画が打ち出される以前から,住民の生活改善を重視した一次予防活動に積極的に取り組んでいます。中でも運動と喫煙に重点を置いた活動に注力しています。運動については,将来のQOLの面から筋力の維持が重要であること,喫煙については,喫煙に関係する疾患の有病率が高いことから取り組んでいるものです。事業の実施にあたっては,住民の主体的な健康づくりへの参加と,好ましい健康習慣が維持されていくための環境整備,健康な地域づくり,ということを意識しています。
 また,昨年度から今年度にかけて,住民や関係機関,関係者の参加の下に話し合いや実態調査を重ねながら,町の健康づくり計画を作り上げましたが,その中でも,「食生活」「歯科」「運動」「お酒・たばこ」「心・ゆとり・地域」「子ども」の六つの分野で行動目標と具体的取り組みを示しました。住民がお互いに支え合い,励まし合いながら健康な地域・環境づくりができるように,行政がすることだけではなく,個人・家庭・地域・学校・職場ができることを行動計画としました。特に,運動や喫煙については,仲間づくりや声がけをすることを目標に定めています。
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事業の内容
space やる気のある人を応援する生き生き健康づくり教室
 
 「やる気のある人を応援する生き生き健康づくり教室」は,現在運動習慣はないが,実行意欲のある人を対象としています。筋力トレーニング,水中運動といった運動メニューを主とし,自己効力感が得られるようなプログラムとしています。特に実践者との交流会は効果的であり,身近な成功体験者の話を聞くことで意欲が高まり,実行へと結びつけています。この教室に参加することで,温水プールに通うようになった人や,参加者同士による自主グループも誕生しています。
 対象者の選定については,基本健康診査時,町独自のヘルスアセスメント票を用いて,運動習慣に関心のある人を選定しています。
   
space 水中ウォーキング教室
 
 「水中ウォーキング教室」は,既に町営の温水プールを利用している人が,継続して利用してもらうことを目的としています。これは,町民の要望を取り入れたもので,教室開催の時間帯にプールへ行けば,水中ウォーキングの指導者がいて,誰でも指導を受けることができます。昼と夜のコースを設けていますが,昼は主に中高年グループによる利用が多く,夜間は就労者が占めています。
 また,個別健康教育参加者や「やる気のある人を応援する生き生き健康教室」の参加者へもPRし,運動習慣の継続を支援しています。「運動を継続することで,膝や腰の痛みが軽減され,医療機関を受診する回数が減った」「仲間ができて楽しみが増えた」等,多くの住民の声が寄せられています。
   
   これら二つの教室を実施するにあたっては,国保ふじさわ町民病院や,スポーツ振興課,シルバーセンターといった関係機関との連携を図りながら進めています。プール職員には,スタッフの一員として教室に参加してもらっています。
 また,病院では,外来受診者で肥満,高血圧,高脂血症,糖尿病等の軽い有所見者に対して教室を紹介してもらったり,医師による健康講話をお願いしています。
   
space レッツ!!ウォーキング教室
 
 「レッツ!!ウォーキング教室」は,体力の維持を目的としています。町内には,10地区に健康センターが設置されており,そこを拠点として,自然にふれながら自分に適した歩き方の基本を学ぶ教室です。ウォーキング教室は,各地区の食生活改善推進員が中心となって考えたコースを使用しており,コース図を全戸へ配布しています。
 地区の自治会協議会やスポーツ推進員との共催で教室を開催しているところもあります。実際にウォーキングを体験することでウォーキングの楽しさを知ってもらい,多くの人にとってウォーキングが習慣化されればと考えています。また,地域でウォーキングをしやすい雰囲気づくりにもつながっています。
   
space 喫煙習慣の改善に向けた個別健康教育
 
 喫煙習慣に対する活動として平成13年度から個別健康教育を開始していますが,これまでに教室に参加し,禁煙に成功した人たちによる禁煙応援団を結成しています。禁煙応援団は,禁煙者同士による情報交換や励まし合いを通して禁煙の継続化を図ることを目的としています。また,新しい禁煙挑戦者に禁煙体験談を話したり,禁煙応援団の存在を広く住民に知ってもらうことにより,健康循環の形成や地域の喫煙に対する啓蒙普及を図っています。
 禁煙教室は,最初に集団で実施し,以後個別という形で行っていますが,1回目の禁煙挑戦者との交流会では,「生の声が聞け,継続して禁煙しようという動機が高まった」という感想が,禁煙者側からも禁煙挑戦者側からも聞かれました。“生の声を聞くこと”が,禁煙に対する動機の高まりにつながっているようです。
 ちなみに平成15年度は,8名の方が参加し,7名の方が禁煙に成功しています。国保ふじさわ町民病院でも早くから禁煙外来を開始しており,大きな成果をあげています。
   
space 健康増進外来
 
 今年,保健センターと国保ふじさわ町民病院が一体となり,「健康増進外来」を立ち上げました。これは,医療機関を訪れている人の多くは生活習慣をコントロールすることで,うまく病気と付き合い,生活できることに着目したもので,これまで保健師が行ってきた個別健康教育のスキルを提供するものです。
 立ち上げにあたっては,保健師と病院スタッフが連携を取り合い,疾病や治療,行動科学といったことを中心に学習しています。一般外来とは区別し,予約制の時間外対応としています。
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成果と課題
   これまで実施してきた各種教室などについて,今後も内容の充実を図りながら継続し,運動習慣や禁煙のきっかけの場を提供していきたいと考えています。また,仲間づくりを積極的に支援し,色々なグループが数多く作られることを目標としています。これに加えて,住民や自治会組織,学校保健会,PTAなどの関係機関と話し合いながら,住民参加の形で事業を推進していく計画です。特に自治会については,健康づくり計画が自治会協議会との協働策定という位置づけになっていることから,保健師自身が各自治会に出向き,地域にあった活動を推進していく予定です。
 ちなみに,今年度は,地区健康センター10カ所に出向いて健康講座を実施しました。健康づくり計画の内容を紹介し,寸劇を通して地域みんなで健康づくりがしやすい環境づくりを進める必要性を訴えました(ヘルスプロモーションの考え方の重要性)。さらに,健康づくり計画の周知と普及推進を目的に,行動計画の内容をポスターにして全戸に配布し,健康づくりシンポジウムを開催しています。住民からは,予想以上に反響があり,健康な地域づくりの兆しがみられています。
 町としても,健康づくりにおいても住民が主体的になれるように,保健師が今後も支援していきたいと考えています。
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調査員:全保協専門委員 有原 一江  ヘルスケア総合研究所 正代 剛一
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