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そこで,当市では,精神障害を理解し,相談業務の円滑化,社会復帰施設へのスムーズな斡旋・調整を行うために,生活教室を開催することにしました。開催にあたり,1年前から準備を行い(実務研修,関係機関とのネットワークづくり,情報交換,予算化,必要な書類・要項作成等),精神障害との関わりから疾病と生活障害を併せ持っていることを理解しないと相談業務は難しいと思いました。そのためにも,個別で関わることも大切ですが,教室を開催し,よりよい援助ができればと思い,取り組みました。 目的としては,在宅の精神障害者の意欲の向上を図り,対人関係をより円滑にし,日常生活の改善及び社会復帰を目指します。参加できる人は市内在住者で,精神障害を持つ人です。プログラム内容は,ミーティング,音楽鑑賞,陶芸,料理,昼食会,コーラス,絵手紙,バスハイク,イチゴ狩り,みかん狩り等で,参加者の希望をできるだけ取り入れながら計画しました。
参加者の感想は,生活リズムが整った,自分のリズムがわかった,皆に会えてうれしい,一緒に何かを行うことが楽しい,安心できる,ほっとできる,話すことで皆と共感できた,仲間ができた,自信が沸いてきた等,様々な意見が聞かれました。関わる側としても,参加にあたって必ず面接を実施し,本人と確認するようにしています。ゆっくり慣れていくこと,自分の調子に気付けるように上手に休むこと,体調に合わせて参加すること,自分から意思表示できるようになること等が大切です。これからも参加者やその家族の疑問点や困ったことにいつでも耳を傾け,本人が自分の病気や障害と付き合いながら自分なりに生活していけるようにバックアップしていこうと考えています。 |
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平成元年10月には,地域精神医療推進のために県立病院主催で,保健所・1市2町の行政をいれての地域精神医療調整推進会議が病院で開催されました。その後は会議場所を持ち回りで移動し,年4回開催しております。平成5年には一関地区精神医療連絡会に名称変更し,参集者も行政機関の福祉関係者を加え,社会参加訓練施設も参加しております。年間の事業計画,各々の最新の動向などの情報提供会議となっております。平成13年からは,地域生活支援センター主催の実務担当者会議が,年4回にわたってケース検討を中心に主治医の参加の下で開催されております。 地域住民への精神障害者に対する偏見を一掃しようと,健康教育として,精神科医等の健康講話・行政での取り組みを各地区で開催し,平成10年にはシンポジウムを開催し,翌年から当事者の意見発表の場として参加いただいております。シンポジウムは,講演と当事者をいれての意見交換の2部構成となっております。 ボランティアについては,平成8年に保健所でボランティア養成講座を開催し,修了者の方が平成8年に「あおぞら会」を結成し,一関ふれあい会にスタッフとして参加・協力いただいております。その後,「ふれんど」というボランティアも結成され,県立病院・社会参加訓練施設等で活躍してもらっています。 平成10年には社会福祉法人「ハッピーライト」が結成され,精神障害者社会参加訓練施設,地域生活支援センター,精神障害者通所授産施設,GHが開設されました。 平成14年に精神保健福祉業務の一部移管により,精神障害者居宅支援事業も制度化され,サービス提供の充実に努めております。
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本事業を必要としている方々の少しでも多くが利用できるよう,更に周知に力を入れ,安心して地域に住めるように努めていきたいと思います。 |
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2)相談・援助業務 相談は,手帳・患者票の申請交付受付時に本人及び家族からの相談や民生委員や隣近所からの苦情及び相談,ケアマネジャー等からの相談,医療機関ケースワーカーとの連絡・相談が多くなっています。手段として,来庁(約45%),電話(約40%),訪問(約15%)となっています。内容は,(1)日常的生活相談,(2)福祉サービスの利用援助,(3)受診援助,(4)介護や接し方,(5)苦情対応,(6)社会参加,の順になっている。 3)精神障害者居宅生活支援事業の実施
4)啓発活動 精神障害の正しい知識の普及と障害に対する理解促進を図るため,平成14年から年1回はシンポジウム方式で200人規模にて開催,また,保健センターの保健推進委員等と協力し,地域組織を活用し,ミニ講座等による地道な啓発を進めることが大事であると思っています。 5)精神障害者小規模保護作業所に対する運営補助及び支援 6)半田市精神保健福祉業務定例調整会議の開催
福祉課に精神保健福祉の窓口を一本化し,保健師と精神保健福祉士という医療系と福祉系の専門職を配置したということは,精神障害者の実態を把握しやすい体制ができたと思います。精神障害者保健福祉手帳や通院医療費公費負担の申請時に声かけをし,必要に応じて相談も実施してきました。相談数はかなりの数になり,日々の悩みや困りごとを含め,健康相談的なことが主ですが,経済的問題については,障害者年金の対象となるか等収入源の確保とか,収入が少ないことから借金を重ね,多重債務者となる深刻な相談も何件かありました。福祉の現場へ異動して,保健との違いを改めて実感しました。保健師の役割は何か。患者票の交付者増加や自殺者の増加に対する予防対策の構築を,保健センターの保健師と連携をとりながら検討をしていく必要があると考えています。 2)地域での生活支援体制 3障害同じように福祉課が窓口になっていますが,歴史の差があり,格差があります。住民のニーズを把握して整理し,住民自らが自覚的に行動できるように援助することが重要であり,保健師としての視点を生かした自助・共助・公助の三位一体となった総合的な支援体制が必要です。 3)ケアマネジメント 精神障害者に必要な社会資源(サービス)を結びつけ,地域生活を支えるということで,今まで保健師としてケースの援助目標をたて,支援してきたことと同じであると思っています。しかし,担当者個人の技量や主観によって,援助内容に格差が生じないよう工夫され,ツールを使用することになっている点などから,学習が必要です。当市においても,ホームヘルプサービスの利用者に対して,必要に応じて部分的にアセスメント票を使用しています。
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最初は,活動日が月1回のみでしたが,活動回数を徐々に増やし,今では週1回行われています。活動日は毎週木曜日10:00〜14:30で,第一・三木曜日は作業日とし,紙袋づくりや青山名産のけんかん茶の袋詰め作業をしています。作業日は家族会も兼ねているため,家族も一緒に作業に取り組んでいます。家族会では,同じ悩みを持つ家族と話せること,不安や悩みを話せることから家族も積極的に参加してくれています。第二・四木曜日はレクリエーションで,調理実習や外出,スポーツや手芸など様々な活動を行っています。また,他の市町村のデイケアや作業所等との交流会も実施しています。 また,町の健康福祉フェスティバルではバザーを行い,クッキーや手芸品を販売することで,その収益を活動費に充てています。地域の人々に精神障害者や“ふれんどつつじ”をよく理解してもらえるよう,写真や活動内容を掲示し,啓発も行っています。 現在,デイケアに参加している精神障害者(メンバー)は5名,スタッフは保健師2名,看護師1名,事務職員1名,ボランティア6名で活動を行っています。保健師,看護師はメンバーの心身状態を把握すること,話を聞くこと,服薬確認などが主な役割であり,中心となってデイケアの活動を運営しています。
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昭和50年に家族会が発足。精神科通院時の交通費補助開始。昭和53年断酒会発足。住民向け精神保健健康教育の開始 昭和60年代 精神デイケア(家族会と患者会合同活動) 平成年代
平成10年代
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マニュアルは,向島町における精神保健福祉業務,相談業務の対応方法,事例別対応方法の3つの章から構成されています。 I 向島町における精神保健福祉業務 1)精神保健福祉相談業務 2)家庭訪問指導業務 3)精神障害者居宅生活支援事業 (1)精神障害者訪問介護事業(ホームヘルプサービス),(2)精神障害者短期入所事業(ショートステイ),(3)精神障害者地域生活援助事業(グループホーム) 4)精神障害者保健福祉手帳申請窓口業務 5)精神障害者通院医療費公費負担申請窓口業務 6)普及啓発事業 7)組織育成 8)医療保護入院に伴う町長同意事務 II 相談業務の実施方法 1)状態別事例として (1)緊急性の高い相談 (2)訴えの多い当事者からの相談 (3)地域からの相談 (4)家族と本人がともに病的な場合 (5)受診を拒否して困っている家族からの相談 (6)単身者の場合の相談 (7)服薬管理についての相談 (8)社会復帰についての相談 2)疾患別事例 (1)統合失調症 (2)気分障害 (3)人格障害 (4)摂食障害 (5)アルコール依存症 (6)老年期性心疾患相談記録は,スタッフ間の共通認識が持てるように,また,ケアマネジメントの手法を使用し,アセスメントしていく初期の情報収集のために,精神保健福祉相談ケース受付・精神保健福祉相談記録表(継続ケース)を使用するよう作成した。
また,様々な文献を集め,今までの会議資料を読み返していくことは大きな実りになったと思われます。 人間関係が希薄化し,ストレスの多い現在,精神的な疾患を抱える方が増え,今後,相談業務は増え続けると考えられます。対象者・家族に接する中で,マニュアルを作成するきっかけとなった傷害事件の原点に立ち返り,地域精神保健福祉の向上のための共通認識をもつ重要性を痛感できました。 |
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家族会の育成と活動内容について 昭和59年に,精神障害者を支えるために家族会を発足させ,年金制度や障害者に対する接し方の勉強会や定例会を実施して家族会の育成を図り,家族会の自立を支援してきました。 昭和62年に障害者が交流できる場としてデイケアを発足させ,社会参加,仲間づくりなどを図ってきました。入退院の繰り返しや治療の中断も減少しました。 平成6年に障害者が毎日通所できる場の確保を図るため,家族会が主に5か町村に陳情し,県下で初めて3障害者が通所する小規模作業所(あすなろ作業所)を開所しました。メンバーもいきいきと参加しています。 家族会では,会員の増員を図るため,会員が家庭訪問をしたり,広報に体験談をのせたりすることにより,若い50歳代の母親の加入により活発に活動ができ,自立できつつあります。主な活動は,行政への陳情,ボランティア活動,定例会,グループホームの運営,全国・四国大会への参加等幅広く活動しています。県下に町村単位で家族会が結成されるよう陳情し,丹生谷地区では既に3町村で設立しています。町単位で活動をすることにより,町村の理解が得られつつあります。 ○グループホーム,生活支援事業について
小規模作業所では,毎週木曜日に木曜市を開催していますが,地域住民とのふれあいにより社会性が育ち,また,年に1回のあすなろさくら祭りでは,家族会,ボランティア,県下の作業所に参加いただき,盛大に開催し,毎年400人余りの参加があります。障害者に対する理解を深めて,ご協力・ご支援をいただいております。地域住民への啓蒙普及活動に多大な成果を上げています。
社会資源の乏しい丹生谷地区においては,3障害が利用できるサービスが必要であり,国や県においても,柔軟性のある地域の実情に合わせた政策を認めて欲しいと思います。今後も,障害があっても安心して住める地域づくりを目指していきたいと思います。 |
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阿武町では,精神障害者数が多く,人口比率が高いという問題に加え,国保の高額療養費該当疾病の件数と費用額ともに上位を占め,入院が長期化し,国保財政を圧迫しかねない状況になってきているといった状況にありました。 そこで,家族会の発足と共同作業所の開設に取り組みました。 2)精神保健福祉事業の概要
その他 ○個別相談,訪問指導(対応困難な事例などは健康福祉センターと連携) ○健康福祉センター事業への協力(精神保健巡回相談・精神保健福祉ボランティア講座)
○家族会の運営が困難になりつつあるため,共同作業所の運営体制を整えていく必要がある ○新たな作品の開発,販売ルートの確立 ○障害者自身が自立して生活できる力を少しでも早く身につける必要がある ○個人目標の共有,目標達成に向けての支援 2)住民に対する意識啓発 ○住み慣れた地域で生活していくためには,住民の理解が欠かせない ○ボランティアの輪を広げる支援 ○障害者自身が,町の行事や町内へ出かける等住民とふれあえる機会を多くもつ |
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地域に当事者の行き場がない状況(保健所デイケアは遠く,医療機関も社会復帰事業未実施)。まずは家族の理解を深めようと平成8年度より保健所の支援を受け,家族教室を開催しましたが,家族よりも当事者が定期的に集いたいと希望があり,教室を開催することにしました。
月1回開催 レクリエーションや調理手芸,交流会,友愛フェスティバル参加,家族教室 対象者は本町及び近隣町精神障害者とその家族
手芸講師などはなるべく地域の方に依頼し,地域に精神障害者への理解者を増やすように努めている。講師料・材料費予算は国保会計 (この教室以外には,うつスクリーニング・こころの健康づくりについての積極的な情報提供や健康教育を行っている)
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