地域包括ケアの推進と
高齢者医療・国保制度改革

今、社会保障関係者のいちばんの話題は社会保障制度改革国民会議の議論。国保関係者の間では、高齢者医療制度や国保制度の改革がどうなるのか気掛かりだろう。

国民会議は昨年11月末に発足し、政権交代を挟んで、1月までに3回開催された。会議の模様は、インターネットで同時中継されている。ホームページにアクセスすれば、これまでの動画をみることもできるから、会議の雰囲気まで窺うことができよう。

これに並行して3党協議も行われている。民主党は、後期高齢者医療制度の廃止と国保の都道府県営化を、自民党と公明党は現行制度を基本にした上での見直しを主張し、平行線のまま。一方、これまでの国民会議の議論では、現行の独立型の後期高齢者医療制度を擁護する発言は一部にあったものの、廃止論は今のところ聞かれない。

今後の審議のスケジュールについて、第3回の会議では、2月に2回にわたって経済界、労働界、それに地方団体等の意見を聴取し、3月以降、予定されていた社会保障・税一体改革における検討事項のうち、積み残しになっている医療・介護の改革から審議に入ることが了解された。

一体改革では社会保障の充実に充てられる2.7兆円(消費税1%分)程度のうち、医療・介護の充実に1.6兆円程度が充てられることとされている。その課題は多岐にわたるが、これまでの議論を踏まえると、どこに住んでいても、適切な医療・介護サービスが受けられる地域包括ケアの推進が検討の大きな柱になるのではないか。

その必要性は将来人口推計からも裏付けられる。人口推計では、2060年の高齢化率は40%、その3分の2が後期高齢者、2分の1が80歳以上で、年間死亡者数の95%が65歳以上の高齢者になる。地域のあらゆる資源を総動員して、地域ぐるみで高齢者を支えるという地域包括ケアの推進が医療・介護の最重点課題になるのは必然的だ。

すでに介護保険では、一昨年の改正により、国と地方公共団体の新たな責務として、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した包括的な支援の推進に努めることを法律で明記し、日常生活圏域ごとの地域ニーズや課題の把握を踏まえた介護保険事業計画の策定、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスの創設、高齢者の住まいの整備等を行うこととした。

また、昨年の介護報酬の改定においては、地域包括ケアシステムの基盤強化のほか、医療と介護の役割分担・連携強化に向けて、重点的な改定を行った。同様に、昨年の診療報酬改定においても、医療と介護等の機能強化や円滑な連携、在宅医療の充実に向けて、重点配分が行われたところである。

そのような課題と方向性からすると、高齢者介護に密接に関連する後期高齢者医療制度が現行のままでよいのか、疑問を抱かざるを得ない。都道府県単位であるがために、地域の取り組みが当該市町村の高齢者の保険料や財政負担に反映されず、地域の取り組みを阻害しているからである。

同様に、国保においても昨年の改正で、都道府県単位の財政運営に向けて、保険財政共同安定化事業が拡大され、対象が1円にまで引き下げられた。さらに将来的には、民主党政権下での高齢者医療制度改革会議の報告書にみられるように、国保の都道府県保険者論もある。これでは、医療と介護が互いに背を向け合う関係になってしまう。

医療と介護の連携強化という観点からすれば、それぞれの給付と負担を一体的に捉え、地域包括ケアの実現に向けての市町村レベルでの取り組みがきちんと評価され、当該市町村の保険料や財政負担の軽減という形で反映される仕組みを目指すべきではないか。少なくとも医療のプライマリーケアと介護についてはそうあるべきだ。


記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉

 

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