社会保障制度の低所得者対策

貧困・格差の拡大が深刻化している。生活保護受給者が急増し、わが国の相対的貧困率はOECD 30カ国中27位だという。こうして、社会保障・税一体改革においても、低所得者対策が大きな課題になっている。

一つは、消費税の逆進性に対する直接的な対応としての「軽減税率」や「給付付き税額控除」などの検討。もう一つは、社会保障制度における対応で、物価スライド等による生活保護基準や各種福祉手当の引き上げ、低所得の年金受給者に対する加算措置、国保および介護第一号被保険者の低所得者保険料軽減措置の拡充、長期高額医療の高額療養費の見直し、制度横断的な低所得者の負担軽減措置としての総合合算制度の創設、生活保護制度の見直しなどが検討課題になっている。

この場合の「低所得」とは、一般に住民税非課税が基準である。生活保護一級地の非課税限度額(均等割)でみると、給与収入ベースで、単身100万円、夫婦のみ156万円(65歳以上高齢者は、年金収入ベースで、単身155万円、夫婦211万円)である。

これらの低所得者は、国保等では保険料が軽減・免除されている。軽減されている被保険者の割合は、国保(平成22年度)が40.6%、後期高齢者医療(平成23年度)が59.0%、介護保険(平成21年度)が30.2%である。また、国民年金第一号被保険者(平成22年度)では、学生納付特例等を含む免除者は28.5%であるが、その他に未納者が16.6%となっている。

なお、生活保護の受給者については、介護保険と国民年金では被保険者として適用を受けるが、国保と後期高齢者医療では、適用外なので、軽減・免除世帯には含まれない。

いずれにしても、このように多数の低所得者を抱える国保等が社会保険としては自立し難い保険集団であることは明白だ。おおむね五割の公費負担のほか、制度間調整による財政支援によってなんとか制度の維持存続を図っているのが現状である。

社会保障・税一体改革では、今後も共助の仕組みである社会保険制度を中心として、社会保障制度の発展を図る。その鍵を握るのが低所得者対策。社会保障目的税としての消費税を財源として、低所得者に重点をおいて国保・介護保険の保険料や福祉サービスを含む利用者負担を軽減することとしている。

ただし、低所得者の基準については、見直しが必要ではないかと思う。50年後の高齢化率が40%という超高齢社会にあっては、全世代が負担能力に応じて支え合う社会を構築しなければならないからだ。

たとえば、世代間の公平の観点から、公的年金等控除を給与所得控除並みに引き下げてはどうか。また、遺族年金も老齢年金と同様に課税対象とすべきではないか。現状では、300万円を超える遺族年金受給者でありながら、非課税であるがゆえに、所得ゼロの低所得者とされている。

その他、低所得者であっても相当な資産を保有している人もいる。地域ではそのような人の生活実態が手に取るようにわかり、不公平感を高めている。資産把握の実務面の対応も含め、今後の検討課題であろう。


記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉

 

 

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