国民健康保険法の改正をめぐって

4月3日、国民健康保険の改正法が成立した。社会保障・税一体改革の議論が高まるなかで、目立たない改正であったが、国保制度の改善に向けての一定の成果を示すものである。主な内容は以下のとおり。

第1。市町村国保の財政基盤強化策を恒久化する(平成27年4月施行)。

財政基盤強化策は、低所得者数に応じて保険者に対して公費により財政支援する保険者支援制度と都道府県単位の医療費の共同事業(高額医療費共同事業・保険財政共同安定化事業)からなる。これまで暫定措置であったものを平成27年度から恒久化するものである。なお、恒久化までの間、暫定措置を1年間(平成26年度まで)延長する。

第2。財政運営の都道府県単位化を推進するため、保険財政共同安定化事業の事業対象医療費を、現在の30万円超からすべての医療費に拡大する(平成27年4月施行)。

共同事業に対する拠出割合は、医療費実績割5割、被保険者割5割が原則であるが、都道府県が市町村の意見を聴いて、広域化等支援方針(任意)を定め、変更可能とされている。

第3。都道府県の調整機能の強化と共同事業の拡大の円滑な推進等のため、都道府県調整交付金の割合を給付費等の7%から9%へ引き上げ、国庫負担の割合を34%から32%へ引き下げる。扶養控除の廃止による地方の増収分を活用するものである(今年度から施行)。

改正のいちばんの狙いは国保の広域化で、市町村間格差と小規模保険者の運営の不安定性への対応である。

格差の象徴は保険料である。都道府県内の保険料格差の是正を目指すには、共同事業の拠出割合の被保険者割を高め、医療費実績割を下げる必要があるが、その場合、医療費が低い地域の拠出金が増え、医療費が高い地域の拠出金が下がる。前者が医療機関に恵まれない町村の小規模保険者であることが稀ではなく、一筋縄ではいかない。

すでに平成22年の法改正によって、都道府県が広域化等支援方針を策定することが可能になっていた。が、保険財政共同化安定事業の拡大や標準的な保険料算定式への統一など、広域化の骨格となる部分についてはさしたる進展はみられなかった。広域化の難しさを物語るものである。

保険料格差の是正は、医療提供体制の不均衡を放置したままでは不公平になる。また、市町村の保健事業推進や保険料徴収努力が活かされないのでは、運営の効率性が低下するのではないか、という懸念もある。

市町村が保険者である以上、調整交付金の配分や共同事業の推進に当たっては、市町村の自主努力を促しつつ、誰もが納得できる構造的な要因に重点を置いて、調整を強化する方向が望ましいのではないか。関係者の英知を結集した取組みを期待したい。


都道府県単位の共同事業の仕組み

記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉

 

 

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