特定保健指導の効果を上げる2 ―質の担保―

特定保健指導では、量の確保と共に保健指導の質を高めることも保険者の責務となる。保健指導の実施率が高くても効果がなければ、時間やお金の無駄となる。ここでは厚労省研究班の成果を基に、保険者が特定保健指導の質をどう評価したらよいか、どう担保すべきかについて述べたい。

特定保健指導の一般的な効果評価は、特定健診結果を用いる方法により、階層化結果が同じで指導を受けた人と受けなかった人の結果を比較して行う。効果指標の中で最も現実的なのは体重の変化である。体重は計測が簡単で、血圧や血糖などとの関連性も高い。我々が行った体重変化を効果指標とした分析の結果から、積極的支援は動機づけ支援より効果が高く、積極的支援のポイント数が多いほど実施効果は高いといえる。ただし動機づけ支援、積極的支援ともに中断者の効果は低い。対象者要因をみると、喫煙者、多量飲酒者は中断しがちで、最後まで指導した場合でも実施効果が低い。こうした対象者には手厚い指導が必要となる。

下表には、体重変化と施設要因との関連を示した。特定保健指導を委託している市区町村保険者(委託型)では、「契約の際に保健指導の質を考慮している」・「委託機関と定期的な打ち合わせを実施している」などの仕組みを持つ場合、有意に保健指導効果が高かった。また委託と直営を比較すると、直営の保健指導効果が高かった。直営の保険者を比較すると、保健指導者の技術を評価する仕組みがある側の効果が高かった。

以上の関連から、特定保健指導で保健指導効果を高めるには、保険者が委託先に対して指導効果を評価する仕組みを持つことが重要である。一方でこうした分析が可能となるのは翌年の健診結果がそろう翌々年になるので、保険者内での日常的な評価改善(PDC A)に活用しにくいことを理解しておく必要がある。

PDCAの視点から可能な保健指導の効果評価を行うには、第一に中断率(参加者の最終支援ができない率)を評価することである。市区町村保険者の行う特定保健指導では約三分の一が中断しており、中断者の指導効果は低い。市区町村保険者にとって中断率を減らすことは最も重要な視点といえる。

保健指導効果(質)を量的に評価するには、指導前(初回支援時)の体重や血圧と、最終支援時の体重や血圧(計測値が原則)を比較するのが現実的である。ただし法定報告には初回支援時の体重や血圧の記載欄がないので、保健指導の際には測定結果を注意深く記録管理する必要がある。初回支援と6ヶ月目の体重・血圧の変化量を集計すれば、指導効果を評価できる。体重などに明らかな変化がなければ指導効果が十分でないことになる。保健指導を委託する際には、中断率を評価指標として入れること、さらに積極的支援では、指導前後の体重変化を実測して変化量を集計することを契約に入れたい。

保健指導効果の施設要因

記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉

 

 

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