こくほ随想
第5回
メイキングオブ『国保のデータヘルス計画 策定・推進ガイド』
今年度は新しいデータヘルス計画(と特定健康診査等実施計画)の策定の年です。そこで、半年くらい前から、計画策定をサポートするための資料をホームページで公開していました。これまで行ってきた研修会の資料をもとに、データヘルス計画の基本、計画策定と評価の理論、個別保健事業の評価と見直しなどをまとめたものです。評価や計画策定のためのワークシートや解説動画も公開しました。
研修会などで紹介したりしたこともあり、多くの方に閲覧していただき、そして、社会保険出版社の方の目に留まり、今回、『国保のデータヘルス計画 策定・推進ガイド』として出版することになりました。
7月中に出版予定だったのですが、8月中旬に出版となりました。出版が少し遅れる原因にもなった、いくつかの苦労話をお話しします。
用語が不正確・不統一:研修会などを繰り返しやっていると、徐々に用語が不正確で、我流になっていきます。例えば、特定保健指導での「初回面接」が「初回面談」になっていたりもしました。また、統一されていない用語もありました。国などの資料と同じ用語を使用したり、少なくとも本の中では統一するようにしました。
情報が古い:来年度からの新しい計画に向けて多くの改定が行われています。関連する資料は分厚く、情報をアップデートするのは大変だと改めて実感しました。
誤字脱字・乱文:タイプミスはかなり多く、文章も不正確で、分かりにくいものも結構ありました。ホームページで勝手に公開するなら許されても、出版社から本として出版する場合、誤字脱字は避けるべきです。根気強くチェックしてくださった担当者に感謝です。
方向性:国の方針もぶれている感じもあり、また、都道府県によっても方針が異なります。特に、混乱している標準化(様式や指標)をどう明示するかは悩んだところです。
このように問題も多々ありますが、よいところも挙げておきます。
ほぼ一人で執筆するのは大変でしたが、執筆者が複数いると、意見や方針が異なることもあります。独りよがりの偏見もあるかもしれませんが、全編を通して一貫しているので、混乱なく読み進めることができるでしょう。
本ガイドには、標準的な指標(例)や計画策定と評価のワークシートを掲載しています。ワークシートを埋めることで、評価や計画策定がスムーズにできるようになっています。なお、特定健康診査・特定保健指導、糖尿病性腎症重症化予防などに加えて、適正受診・適正服薬、一体的実施まで幅広く取り上げています。それぞれの状況に応じて、改変してお使いください。
次年度以降は、計画をもとに事業を推進していく必要があります。そのため、計画策定だけではなく、推進のポイントについて、事業ごとに記載しました。
データヘルス計画を推進する障害になっているのが担当者の異動です。新しく担当になった方への研修などをしっかりと行い、早めにキャッチアップしてもらうことが大切です。本ガイドは、研修会などのテキストとして使用することも可能です。
ということで、自分の本の宣伝みたいになってしまいました(といいますか、全く宣伝ですが)、ご協力いただいた方のためにも、そして、データヘルス計画策定でお困りの方のためにも、たくさん購入し、業務の参考にしていただきたいので、今回は、このネタでお許しください。
記事提供 社会保険出版社〈20字×80行〉