[監修]百枝 幹雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター愛育病院 院長)

女性のライフステージと健康課題

女性ホルモンには、エストロゲンプロゲステロンの2種類があります。2つのホルモンは月経や妊娠、出産にかかわる他、女性の美容と健康にとって欠かせない存在です。一方で、イライラや女性特有の病気など、うれしくない症状を引き起こす原因になることも。

特にエストロゲンは、一生の中で分泌量が大きく変化します。分泌が活発な時期には婦人科系の疾患を引き起こしやすく、逆に分泌量が急激に減る更年期には精神的・身体的にさまざまな不調が現れやすくなります。

このように、ライフステージごとに心身にどんな変化が起こりやすいのか、正しい知識を身に付けておくことは、人生を健やかに快適に過ごしていくために重要です。

女性ホルモンは月経という短い周期の中だけでなく、一生の中でも増減するよ。女性の健康を守ってくれる存在だけど、一方で、さまざまな不調や病気の引き金となることもあるよ!

健康的な生活習慣とストレスをため込まない生活を

  • 1日3食、できるだけ決まった時間にバランスの良い食事をとる。
  • 適度な運動習慣を心がける。
  • 意識的に休息をとる。自分に合ったリラックス法、ストレス発散法を見つけて実践する。

適正体重をキープ

自分の体重が適正かどうかの一つの目安としてBMIがあり、次の式で求めることができます。

BMI:
体重□kg÷身長□m÷身長□m

年齢(歳) 目標とする
BMI(kg/㎡)
18~49 18.5~24.9
50~64 20.0~24.9

※BMI(Body Mass Index)は、
肥満の度合いを表す指標です。

20代~30代に注意したい病気って?

女性ホルモンが活発に分泌される時期だからこそ、子宮・卵巣の病気を引き起こしやすい!
「やせ」や「貧血」にも気をつけて。

知っておきたい! 20代~30代の女性の不調・病気

子宮内膜症

子宮の内側にあるはずの組織が、子宮内腔(ないくう)以外の場所にできて、増殖、剝離を繰り返し、不要な組織が排せつされずに炎症や癒着などを起こします。20代~30代の女性に多く、症状は、強い月経痛、骨盤痛、性交痛、排便痛など。不妊の原因になることがあります。

子宮筋腫

子宮の筋層にできる良性の腫瘍です。子宮筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンの作用によって大きくなり、閉経すると、逆に小さくなります。大きさやできる場所によって症状が異なりますが、過多月経、不正出血、貧血、頻尿、腰痛などの他、不妊や流産、早産の原因になることもあります。

やせ

近年、特に若い女性の「やせ」の割合が高くなっています。「やせ」は栄養不足の状態であり、体に必要な栄養が不足すると筋肉量の低下などとともに、月経異常や無月経などが起こることも。また、適正な体重よりもやせている女性から生まれてくる赤ちゃんは、低体重や将来糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高まるといわれています。

※「やせ」はBMI(体格指数)で定義されており、BMIが18.5未満の場合を指します。

貧血

女性は、血液中の鉄分が不足する「鉄欠乏性貧血」が特に心配されます。月経や出産に伴う出血で血液に含まれている鉄が失われたり、妊娠や授乳で鉄の必要量が増えたりすることで、鉄不足になりやすいといえます。貧血は軽く考えがちですが、肌荒れ、月経異常などの他、全身に悪影響を与えることもあるこわい病気です。

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