上手な断り方~口に出さなければ何も伝わらない~

世の中には、とても断り上手な人がいます。ストレートに断るものの、上手に表現するため、
誰もがすんなり納得してしまうし、後腐れもありません。
一方で、いつも断れずに何でも引き受けてしまう人もいます。
本当は都合が悪いとか体調が優れないといった理由があるにもかかわらず…。
そのくせ、引き受けた後で「ああ、また断れなかった」と後悔してしまいます。

「NO」と言えずに、何でも引き受けていませんか?

本当は「YES」と思っていないのに「YES」と応えてしまう。これは、自分のことを大切にしていない態度です。「ああ、引き受けなければよかった」と思っているのにそれを言わない、言えないため、結果的に自分の望みは叶わなくなります。

また、自分の気持ちを押し隠して引き受けた後で、「私はいつもはっきり言えない」「断れない弱い私」などと自分で自分を責めたりすることもあります。これ、不健全だと思いませんか。

自分の状況や気持ちは、表現しなければ相手には伝わりません。「YES」と言いつつ、心の中では、「行きたくないなぁ」「関心がないんだけど」「今日は困るんだよなぁ」と思っているとしたら、相手にも不誠実です。だったら、最終的な結果がどうなるかは分かりませんが、下記のように表現に気をつけながら、思い切って「NO」を伝えてみてはどうでしょう。

思い切って「NO」を伝えてみてはどうでしょう。

不本意な「YES」をやめて、自分の気持ちを大切に

イラスト

ダメ元で自分の状況や気持ちを伝えてみると、「あ、そうなんだー。予定あったのね、じゃ、またの機会に!」とか「関心あるテーマの時は参加してみてね」「あ、セミナーがあるのか。じゃあ、別の人に頼もう」などと相手は案外簡単に納得するかもしれません。黙っていたら何も伝わらず、何も始まらないのです。

とりあえず、どんな場合でも「YES」と言うのをやめてみる。自分を大切にしながらも、相手の気持ちや受け止め方にも配慮した上で、自らの状況をきちんと説明をするのも悪くはありません。「相手の気分を害したらどうしよう」「冷たい奴だと思われるかな」などと自分を悩ませている原因は、「事実」ではなく、自分の中で作り出している「思考」なのです。

田中 淳子(たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。1986年日本DEC入社、IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『はじめての後輩指導』(経団連出版)、『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)など。

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