監修:古賀良彦(杏林大学医学部精神神経科学教室教授)
良い睡眠のためには、環境を整えることも重要です。寝つきの悪い人でも、環境を整えてみれば改善することもあります。
「良い眠り」とは、質の良い睡眠を必要なだけ取り、すっきりと目覚め、日中に眠気を感じないこと。
では質の良い睡眠をとるにはどうしたらいいでしょうか。実は、眠る場所(環境)は、睡眠の質にかなり影響を与えます。
現代人、特に高齢者は、真っ暗な環境に置かれると感覚が遮断されて、幻聴や幻覚があらわれたり、意識が混濁したりすることがあります。周囲のものがぼんやりと見える程度の暗さに調節を。
照明は暖色系の色にしましょう。パソコンやスマートフォンなどが発する青い光は眠りを妨げますので、就寝1時間ほど前から、そばに置かないこと。
寝起きが悪い人は、室内に朝日が入るよう、カーテンを少し開けておきましょう。ちょっとした光で起きてしまう人は、カーテンをきちんと閉じましょう。
夏は25~28℃、冬は18~22℃くらいが目安です。
質の良い睡眠のためには、体から放熱して深部体温を下げる必要がありますが、気温や湿度が高いと放熱できません。夏に寝つきにくいのはこのためです。
冬は、トイレに起きたとき布団の中と室温との差が大きいと、循環器病の危険性がアップ。暖房で適温を保ちましょう。
室内の寝具やカーテン、壁などは、原色(濃い赤・青・緑)や白・黒などのはっきりした色を避け、パステルカラーやアースカラーなどの柔らかい色を選びましょう。
家具の配置やドア・窓の防音で、生活音や窓の外の交通騒音などを防ぎましょう。秒針の音が気になる人は、デジタル時計に。
また、音楽がある方が入眠しやすい人も、鳴らしっぱなしは脳にダメージを与えるので禁物です。
通気性が良く、体圧が分散し、軽いものを。沈み過ぎる敷布団や高い枕、重い掛け布団は寝返りしにくく、眠りを妨げます。
体を締めつけず、通気性が良いゆったりしたものがお勧めです。