逆流性食道炎(胃食道逆流症)は、強い酸性の胃液が胃から食道へ逆流し、その刺激で食道の粘膜に炎症が起きている状態です。
お腹の上部から胸にかけて、「ちりちり焼ける」ような感じがするのが特徴で、ほかにも、苦い水や酸っぱい物が上がってくる、お腹が張る、のどがヒリヒリする、物を飲み込むとつっかえ感があるといった症状も見られます。
特に、前かがみの姿勢をとったとき、お腹に力を入れたとき、ストレスや胃炎などで胃の機能が弱まっているとき、脂っこい物を食べ過ぎたときなどは、胃酸が逆流しやすくなります。
また、歳を取って背骨が曲がると、横隔膜がゆるんで胃の一部が横隔膜の上にはみ出してヘルニアを起こしていたり、胃や食道に腫瘍や潰瘍ができて胃炎や食道炎が生じていたりすることもあります。いちど専門医を受診し、内視鏡検査を受けることをおすすめします。
治療の基本は、胃酸の分泌を抑える胃酸分泌抑制薬による薬物療法です。これで効果がなかったり、何度も再発したりするときは、手術を行う場合もあります。
胃液の逆流が起きにくいような、生活習慣の改善も重要です。食事では、脂っこい物や刺激の強い物、甘い物は胃酸の分泌が多くなるので控えましょう。さらに、夜遅い時間には食事をしない、食後すぐに横にならない、早食いや食べ過ぎなどに注意しましょう。また、ベルトなどでお腹を強く締めつけない、前かがみの姿勢を長くとらない、寝るときは枕などの工夫で上体を高くする、といったことを心掛けましょう。
回答者:田園調布中央病院外科部長 富永幸治