心臓から全身の細胞に酸素や栄養を含んだ血液を運ぶのが動脈、血液を心臓に戻すのが静脈です。血液が重力によって逆流しないようにするため、静脈には所々逆流防止弁が付いていますが、この逆流防止弁が壊れた状態が下肢静脈瘤です。
血液が逆流して足元の静脈に流れ落ちてくると、その圧力で血管がコブのように膨らんできます。ふくらはぎの内側、後ろ側に多く起こり、見た目にはっきりと分かるほどデコボコと血管が膨らんだり、紫色の毛細血管が浮き出てきたり、炎症を繰り返すことで病的な血管の周りに色素沈着や潰瘍ができたりします。
見た目に下肢静脈瘤による典型的な所見がなくても、足がつる、むくむ、だるい、かゆいといった症状がある場合は、隠れ下肢静脈瘤の可能性もあります。遺伝的要素もありますが、特に美容師や看護師、販売員など、長時間にわたり立ち仕事をしている人、妊娠・出産後の人は発症しやすいので要注意です。早めに専門医を受診し、適切な治療を。
日常生活では、長時間同じ姿勢のままでいることを避け、足踏みや足首回しなどでできるだけ足を動かす、弾性ストッキングを着用する、座布団などを使って足を高くして寝るなど、足の血流をよくする工夫をしましょう。
回答者:末石通暁 品川ハートメディカルクリニック院長