目のピント機能が弱くなる老眼では、近くの物が見えにくくなりますが、物が二重に見える症状はありません。質問者の目の疲れや物が二重に見える(複視)という症状からは、間欠性外斜視が疑われます。
間欠性外斜視とは、普段は両目が同じ方向を向いているものの、時々片方の目が外側を向く病気です。普段は目が正しい方向に向くように無意識に目に力が入っているため、目が疲れやすくなります。また、片方の目が外側を向いているときは物が二重に見えます。
大人になってからの斜視は、脳腫瘍、脳出血などの脳疾患、甲状腺眼症などの病気が原因の場合もあるので注意が必要です。まずは眼科を受診して検査を受けてください。
病気が原因の場合は、その治療を行います。病気が原因ではない場合は、眼精疲労や複視を抑えるために、プリズム眼鏡、斜視手術の治療が検討されます。プリズム眼鏡は、光を屈折させて目の位置を補正します。斜視手術は、目を動かす筋肉の位置を変えて目の位置を補正します。これらの方法で目に力を入れなくても楽に目が正しい方向に向くようにするのです。放置すると日常生活に支障が生じることもあるので、早めに検査・治療を行うとよいでしょう。
回答者:北原由紀 荻窪病院 眼科部長