「うつ」は、一日中憂うつな気分が続いたり、何にも興味がもてなくなったりする他、食欲の増減、不眠、思考力・集中力の減退などさまざまな症状が現れ、これが2週間以上続いて日常生活に問題が生じる病気です。妊娠中や子供が生まれた後にうつになる人は多く、特に、子供の生後一カ月以降に現れるうつを、「産後うつ」と呼びます。
女性の産後うつが注目されがちですが、男性も無関係ではありません。国立成育医療研究センターの調べで、生後1歳未満の子供がいるふたり親家庭では、父親の約1割に精神的な不調のリスクがあり、母親と同程度だと分かっています。
育児が始まると、誰でも、思い通りにならない子供との生活で疲れたり、不安になったりするものです。こうした新しい生活環境が産後うつを引き起こすきっかけに。自分たちだけで育児の悩みを解決しようとせず、親戚や友人、自治体などの助けを借りながら、心身を休める時間をつくることが大切です。
また、父親同士が交流するコミュニティーも増えてきています。インターネットなどで調べて参加してみると、育児の悩みだけでなく、喜びも共有する仲間が見つかるかもしれません。
回答者:宗田 聡 広尾レディース 院長 ・茨城県立医療大学 客員教授