2〜3週間以上長引く咳では風邪以外の原因を考えますが、質問者のような場合は「逆流性食道炎」の可能性を疑います。
逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道に逆流して炎症が起こる病気です。通常、胃の内容物(胃液や消化中の食べ物など)は、食道と胃の境界にある筋肉の働きで逆流しないようになっています。しかし、加齢や食べ過ぎ、早食い、肥満などの理由でこの筋肉が緩むと、内容物が食道へ逆流してしまうのです。
胃と違って、食道は胃液の酸で傷ついてしまうため、逆流が続くと炎症を起こし、胸焼けや、酸っぱい物が上がってくるような感覚、胸やみぞおち周辺の痛みなどの症状が現れます。また、慢性的な咳やのどの違和感、声のかすれなどが現れることもあり、これらは特に、就寝中など横になった時にのどの近くまで胃液が逆流することで起こりやすくなります。
逆流性食道炎は命に関わる病気ではありませんが、QOL(生活の質)を下げてしまいます。消化器内科などの外来を受診して症状を細かく伝え、胃カメラ(内視鏡検査)を受けるとよいでしょう。逆流性食道炎と診断された場合は、胃酸を抑える薬や、胃の運動の改善を促す薬などを用いるとともに、生活習慣の改善に取り組む必要があります。
このような生活習慣を避けると逆流性食道炎の改善や予防につながる
胃液の逆流につながるような習慣を避けることが大切です。胃酸の分泌を促す食べ物や飲み物は控えることが基本。食後は胃液が逆流しやすくなるため、姿勢などにも注意を払うとよいでしょう。また、肥満の人は体重を減らすことをおすすめします。
回答者:ふれあいの丘内科内視鏡健診クリニック院長
粟田裕治