切れ痔やいぼ痔、痔瘻(じろう)、がんなどの疾患がないにもかかわらず肛門や直腸に現れる痛みを「機能性直腸肛門痛」と呼びます。痛みの強さは、違和感がある程度の人もいれば、激しい痛みで目が覚める程の人もいます。また、数秒で治る人や30分以上続く人など、痛みの持続時間もそれぞれで、痛む場所、痛みのタイプにも個人差があります。
機能性直腸肛門痛はこうした症状の傾向でタイプ分けされ、その一つが「一過性直腸肛門痛(消散性直腸肛門痛)」です。夜間に突然激しい痛みが現れることが多く、数秒から十数分の後、突然治まります。痛みの原因は、骨盤内の仙骨や陰部にある神経の障害、肛門周囲の神経や筋肉の過緊張やけいれんなどにあると考えられますが、はっきりしません。
診察では、指診と視診で肛門の状態を確認し、必要に応じて超音波検査や肛門の感度を調べる検査を行います。治療は、電気刺激治療や痛みを抑える薬物療法やブロック注射、肛門括約筋の訓練などを行いますが、改善しない場合は、痛みとうまく付き合っていくことを目指します。
恥ずかしい、怖いという気持ちが強い場合は、オンライン診療が利用しやすいかもしれません。受診をためらわず、一度専門医に相談を。
回答者:野 正太 大腸肛門病センター 高野病院 理事長