血液が「サラサラ」「ドロドロ」などといいますが、血液の中に異常に脂質が増えたドロドロの状態がまさに脂質異常症。そのまま進行すると命にかかわる重大な病気を招くため、注意が必要です。
血液の中に脂質が増えた、いわゆる「ドロドロ」血液は、血管をスムーズに流れなくなり、血管を傷つけたり、詰まらせたりして動脈硬化を進行させます。
ドロドロ血液になる脂質異常症には、コレステロールを全身に運ぶLDL(悪玉)コレステロールが多い高LDLコレステロール血症、不要なコレステロールを体外に排出するHDL(善玉)コレステロールが少ない低HDLコレステロール血症、そして中性脂肪が増え過ぎる高トリグリセライド(中性脂肪)血症の3つのタイプがあります。
高LDLコレステロール血症による動脈硬化で恐ろしいのが粥(じゅく)状硬化。余分な脂質が血管壁に入り込んで血管の内腔を狭めて血管をふさぎ、心臓病や脳卒中などを引き起こす原因になります。
脂質異常症の原因のほとんどは生活習慣の乱れ。中でも食べ過ぎや偏食などの食生活が最大の原因です。低HDLコレステロール血症と高トリグリセライド血症は、生活習慣の改善が最大の治療法です。
食生活の改善は、摂取エネルギー量を適正にし、バランスよく食べることが基本。その上で、高LDLコレステロール血症の場合は、コレステロール値を上げる食品を控え、下げる食品を積極的にとりましょう。食品自体にコレステロールの多い鶏卵や魚卵、レバーなども控えめに。
高トリグリセライド血症の場合は、砂糖や果物などの糖質とアルコールのとり過ぎにもご注意を。
脂質異常症の予防・改善だけでなく、健康の維持には欠かせない運動。しかし、間違った運動法では効果も半減してしまいます。
例えば、競技性が高く、緊張や興奮をしやすい運動は、ついつい自分のペースを乱しがちになるのでおすすめできません。また、呼吸を止めて瞬発力で行う運動は、過度の血圧上昇を招くことがあります。脂質異常症の改善を目的とした運動には向きません。
ほかにも、以下の点にご注意を。持病のある人などは医師に相談することも必要です。
監修:砂山 聡(水道橋メディカルクリニック院長)