血圧は高いほど血管にかかるダメージが大きく、そのダメージが大きいほど動脈硬化が進行し、脳卒中や心臓病を起こす危険性が高まります。正しい知識をもって、血圧を上げない生活を今日から始めましょう。
血圧とは、全身に血液が運ばれるとき、動脈の血管にかかる圧力のことです。心臓が血液を送り出して縮まったときの圧力を収縮期(最高)血圧、心臓が元に戻ったときの圧力を拡張期(最低)血圧といいます。
正常な範囲を超えた高い血圧が常に続いている状態が高血圧で、放っておくと血管壁が硬くもろくなり、動脈硬化が進行します。すると動脈硬化が高血圧をさらに悪化させる悪循環を招き、脳卒中や心臓病、腎臓病などの重大な病気を次々と引き起こします。肥満や脂質異常症、糖尿病などの高血圧以外の危険因子をもっている人は特に注意が必要です。
ほかの危険因子がなくても、血圧がやや高めになったら、「ギリギリ大丈夫」と安心せずに、生活習慣を見直すサインと考えましょう。
高血圧を予防・改善するには、減塩をはじめとする食生活の見直しが欠かせません。加えて、定期的な運動習慣で内臓脂肪を減らすことも大切です。また家族に高血圧が多い家系の人は、定期的に健診でチェックする、家庭で血圧を測定するなど、日頃から注意が必要です。今日から血圧を上げにくい生活習慣を心がけましょう。
かつて日本人の高血圧は塩分のとり過ぎによるものがほとんどでしたが、近年は肥満によるものが増えています。
塩分のとり過ぎで血圧が高くなるのは、血液中に増えた塩分濃度を下げるために、腎臓が水分を血液中に送り出して、血液の全体量が増えることなどが原因です。
一方、肥満で血圧が高くなるのは、太って大きくなった体のすみずみにまで血液をゆきわたらせるために、高い圧力が必要になることや、脂肪細胞が分泌する血圧を上げる生理活性物質などが原因です。この場合、降圧薬は効きにくく、なかなか血圧は下がりません。
太り気味の人は、薬に頼る前に肥満解消に努めることが何よりも大切です。おすすめなのは定期的な運動。運動には、血圧を下げて安定させる効果があるほか、ストレス解消、肥満予防、そして、高血圧からくる腎臓病の予防や血糖値のコントロールにも役立つことがわかっています。楽しみながらできる自分に合った運動を見つけてください。
監修:砂山 聡(水道橋メディカルクリニック院長)