日本人の三大死因である、がん、心臓病、脳卒中。そのうち、心臓病と脳卒中は動脈硬化が要因となる病気です。この動脈硬化の進行に深くかかわっているのが、メタボリックシンドロームです。
内臓脂肪型肥満に脂質異常や高血圧、高血糖が2つ以上合併した状態をメタボリックシンドロームといいます。メタボリックシンドロームの恐ろしさは、合併した一つひとつの症状がたとえ軽度でも、動脈硬化を相乗的かつ急速に進行させて、心筋梗塞などの深刻な病気を引き起こす確率が高まる点にあります。
内臓脂肪のたまり過ぎで発症した生活習慣病の治療は、まず何よりも、原因である肥満を解消することが必要です。「体重が増えてきた」「ズボンやスカートのウエストがきつくなってきた」は、対策を始めるサイン。食生活などを見直し、太りにくい生活習慣を身につけましょう。
脂肪は、消費エネルギーより摂取エネルギーが多いときに蓄積されます。そのバランスを逆転させる以外に脂肪を減らす方法はありません。食べる量を減らし、消費する量を増やすことが基本なのです。
内臓脂肪はたまりやすい一方、落としやすいという特徴もあります。ただし、間違ってはいけないのは、「ダイエット=食べない」ではないということ。無理なダイエットは必ず体に反動がきます。大切なのは、消費と摂取のバランスを正すこと。急がず確実に健康的な減量を心がけることが大切です。
減量のためには食の改善だけでなく、運動が欠かせません。食事だけで減量すると、脂肪と一緒に筋肉も落ちる上、基礎代謝が低下して、やせにくくなってしまいます。
運動のポイントは、ウォーキングなど体脂肪を燃やす有酸素運動と、基礎代謝量を増やして体脂肪を燃えやすくする筋力トレーニングを組み合わせること。
週に一度まとめて長時間行うより、汗ばむ程度の運動を毎日行うほうが効果的です。
お腹まわりを中心に、内臓のまわりに脂肪がつく内臓脂肪型肥満が生活習慣病の温床であることは、みなさんご存じの通りです。
一方、内臓脂肪型肥満とは異なり、お腹から下半身を中心に、皮膚のすぐ下に脂肪がつくのが皮下脂肪型肥満。皮下脂肪型肥満はメタボリックシンドロームのリスクは低いとされていますが、引き起こされる合併症がないわけではありません。
例えば関節症や腰痛。肥満によって増えた体重は、ひざや腰に大きな負担をかけます。また、脂肪がのどを圧迫して起こる睡眠時無呼吸症候群や、女性の場合には月経異常を合併しやすいといわれています。
監修:砂山 聡(水道橋メディカルクリニック院長)