脳卒中の原因は、高血圧や肥満、脂質異常症、糖尿病などのいわゆる生活習慣病。正しい知識をもち、日頃の生活習慣を見直すことでリスクを軽減しましょう。
脳の血管が動脈硬化によって破れたり(脳出血)、詰まったり(脳梗塞)すると、その動脈が支配している脳の組織に血液が送られず、細胞が壊死(えし)します。これが脳卒中です。突然発症して死亡するケースも少なくなく、死に至らなくても脳の機能の一部が損なわれて、深刻な後遺症が残ることが多い病気です。
脳出血は脳内部のミシン糸ほどの細い血管が破れるもので、主な原因は高血圧です。昔の日本人には脳出血が多かったのですが、現在は、太い動脈がコレステロールなどで詰まる脳梗塞が増えてきました。原因は高血圧だけでなく、肥満や脂質異常、高血糖など。これらが複雑に絡まり合い、メタボリックシンドロームになると、脳梗塞になる確率は高くなります。
肥満は脳卒中だけでなく、メタボリックシンドロームを基盤としてすべての生活習慣病の温床になります。内臓脂肪がたまり過ぎると、血液中の糖や脂質が増えたり、血圧を上昇させたりするさまざまな悪玉物質の放出が増えてしまいます。つまり、メタボの人ほど血液がドロドロになりがちということです。
内臓脂肪はつきやすい分落ちるのも早いという特徴があります。食生活や運動習慣などの普段の生活を見直して、体重管理をしっかりとし、内臓脂肪を減らしていくことがポイントです。
脳卒中を予防するには、高血圧予防も欠かせません。外食や加工品には塩分が多いため、気をつけていないとすぐにとり過ぎになってしまいます。塩分の摂取量をしっかり管理し、高血圧を予防しましょう。とはいえ、いきなり極端に減塩をするのは大変なので、徐々に舌を薄味に慣れさせていってください。
脳梗塞には前ぶれ発作といわれる症状があります。一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、24時間以内、多くは数分で回復する一時的なもの。「何かおかしいかな?」と思っているうちに回復してしまうため、見逃されがちです。
しかし、TIAは放置すると約30%が脳梗塞を発症する恐ろしい前ぶれ。周囲の人から指摘されたり、自分で何か違和感を覚えたりしたら、即座に病院へいってください。
体の片側がしびれる・手足に力が入らない・直線が書けない・突然激しい頭痛が起こる・物が二重に見える・視野の半分が見えない・片目が見えない・食べ物が一時的に飲み込めない・足がもつれて歩けない・人のいうことが理解できない・ろれつが回らない・話したいのに急に言葉が出なくなる など
監修:砂山 聡(水道橋メディカルクリニック院長)