血液をろ過する働きをもつ腎臓は、高血圧や糖尿病、脂質異常症など血液や血管にダメージを与える病気と関連の深い臓器です。一度低下した腎機能は元に戻りません。早期の予防・改善により腎機能を低下させないことが非常に重要です。
腎臓病の患者は年々増えています。腎臓そのものに原因がある原発性と、生活習慣病などほかの病気の影響で起こる続発性に分けられ、近年は続発性の腎臓病が急増しています。
続発性の腎臓病で、特に増加傾向なのが糖尿病腎症です。血液中にあふれ出た糖が腎臓の血管などを傷つけ、血液をろ過できなくなる症状で、人工透析などの透析療法が必要になります。また、高血圧により腎臓の細い血管に動脈硬化が起こって、腎臓が萎縮してしまう腎硬化症も多く見られます。
そのほか、新たな国民病として慢性腎臓病(CKD)が注目されています。慢性的に腎機能が低下している状態で、腎不全や心血管疾患の予備群ともいわれています。
腎臓病には劇的に効果のある予防・改善法はなく、生活習慣全体の改善が欠かせません。寝不足や疲れが残っているなら十分な睡眠をとる、禁煙する、暴飲暴食は控える、ストレスをためないなどといったことを心がけてください。そしてその上で、より腎臓に負担をかけないために、下に挙げたような点に注意を。
慢性腎臓病(CKD)とは、腎障害や腎機能の低下が3カ月以上続く状態のことです。日本では成人の8人に1人がCKDにかかっているといわれています。
CKDは初期は自覚症状がほとんどありませんが、放置しておくとやがて腎不全や尿毒症に至り、人工透析や腎移植を受けざるを得なくなります。
また、CKDは心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす要因にもなります。CKDの危険因子である高血圧や脂質異常、高血糖などはもともと動脈硬化の危険因子ですが、さらに腎機能の低下そのものが動脈硬化を悪化させるともいわれています。
CKDを早期に発見するには、定期的に健診を受けることが重要です。判定には、血清クレアチニン値をもとに計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)が指標として用いられています。
監修:砂山 聡(水道橋メディカルクリニック院長)