共済組合担当者のための年金ガイド

令和8年度の年金額はどう決まるのか

令和8年度の年金額が令和8年1月23日(金)に公表されます。

年末の令和7年12月26日(金)に閣議決定された令和8年度の政府予算案の資料をみると、次のようになっていました(【図表1】参照)。

【図表1】

【図表1】の政府予算案の資料によれば、「物価変動率(3.3%)」>「名目(手取り)賃金変動率(2.2%)」>0と見込まれていますので、「年金額の改定(スライド)の基本ルール」に当てはめて考えると、「パターン⑥」に該当すると思われます(【図表2】参照)。

新規裁定者も既裁定者も年金額の改定率は同じか

【図表2】

したがって、令和8年度の年金額の改定率は、令和7年度・令和6年度と同様に、「新規裁定者」(67歳以下)も「既裁定者」(68歳以上)も同じ改定率になるものと思われます。

令和5年度のように、「名目手取り賃金変動率」が「物価変動率」を上回る「パターン①」に該当することはないと思われますので、「新規裁定者」と「既裁定者」で、年金額の改定率が別々になることはないと判断されます。

マクロ経済スライドの調整率は、基礎年金と厚生年金で2本立てに!

また、政府予算案に掲載されているマクロ経済スライドの調整率の値が、基礎年金の数値としますと、厚生年金のマクロ経済スライドの調整率(制度改正があり、「経過的軽減調整率」という)は、令和8年度は、次のようになると、試算されます。

〇  政府予算案で示された基礎年金のマクロ経済スライドの調整率0.998(マイナス0.2%)とすると、
〇  厚生年金のマクロ経済スライドの調整率「経過的軽減調整率」は、
(1-0.998)×2/3=0.0013≒0.001
0.998+0.001=0.999(マイナス0.1%)

したがって、年金額の改定率も基礎年金は、
1.022×0.998=1.0199≒1.020で、2.0%の増額改定
厚生年金は、1.022×0.999=1.0209≒1.021で、2.1%の増額改定
になるものと思われます。

ただし、上記の試算は、あくまでも令和8年度の政府予算案のデータを元に、物価変動率が3.3%を前提としたものであり、令和8年1月23日(金)に公表される実際の物価変動率の値が異なれば、名目手取り賃金変動率・年金額の改定率などの他の数値も当然変わってくることにご留意ください(筆者が執筆しているのは1月7日現在)。

「令和8年度の年金額改定の基本的な流れ」

「令和8年度の年金額改定の基本的な流れ」を【図表3】に、フローチャートとしてまとめましたので、ご参照ください。

あくまでも「基本的な流れ」(フローチャート)を示したものであり、数値がこのとおりになるというものではありません。

令和8年1月23日(金)に厚生労働省から正式に公表(プレスリリース)される内容の、予習的な位置づけでお目通しいただけると、幸いです。

【図表3】

令和8年度も物価の上昇率に年金額の改定率は追いつかず

「物価変動率と年金額の改定率の経年変化」を【図表4】にまとめました。

令和8年度も物価の上昇率に年金額の改定率は追いつかず、ということになり、年金を主たる収入として生活している高齢者にとっては、厳しい1年が続くことになりそうです。

そういう点でも、なるべく早期に、マクロ経済スライドの調整が終了する施策が求められているのではないか、と筆者は感じております。

【図表4】

令和5年度から令和8年度までの「物価変動率」の単純な合計が(実際は、令和4年度から令和7年度ということになる)、11.7%なのに対し、「年金額の改定率」は、新規裁定者の場合でも8.8%、既裁定者の場合は8.5%となっています(基礎年金の場合。厚生年金の場合は、新規裁定者8.9%、既裁定者8.6%)。

在職老齢年金の支給停止基準額は65万円か

あわせて、政府予算案に掲載されている名目賃金変動率のデータを前提とすると、在職老齢年金の支給停止基準額は、制度改正があった関係で、令和8年度は、次のようになると、試算されます。

〇  法定額(制度改正後は620,000円)×名目賃金変動率の累積
=620,000円×1.023(令和7年度)×1.022令和8年度の見込値
=648,213.72円=650,000円(5千円以上切り上げ)

令和7年度の支給停止基準額は51万円でしたが、令和8年度は65万円になると予測されます。

老齢厚生年金の受給権が発生するのは65歳です。地方公務員で65歳を過ぎても第3号厚生年金の被保険者というのは、約2万人程度です(令和6年3月末現在。第3号被保険者約294万人の0.7%。2025年1月14日に開催された社会保障審議会・年金数理部会【資料2】18頁)。

該当する人は、65歳以上の市長・副市長などの特別職、自治体病院の医師などと思われますが、いままでは全額支給停止であった老齢厚生年金が、令和8年4月以降は、一部支給されるようになる人が出てくるものと思われます(ただし、経過的職域加算額については、第3号厚生年金被保険者である期間は、引き続き、全額支給停止。実際に振り込まれるのは、令和8年6月15日)。

もちろん、元地方公務員で、65歳を過ぎて民間の事業所に勤務して、第1号厚生年金被保険者になっている人、あるいは、市役所を定年退職後、暫定再任用制度で65歳まで任用したあと、さらに、短時間勤務の会計年度任用職員として市役所に任用されて第1号厚生年金被保険者になっている人は、旧3階部分の退職共済年金(経過的職域加算額)はもちろんのこと、2階部分の老齢厚生年金もほぼ全額支給になるのではないかと思われます(総報酬月額相当額と老齢厚生年金の報酬比例部分の月額の合計額が65万円を超えると支給停止がかかる。経過的職域加算額は全額支給となる)。

いずれにいたしましても、正式にプレスリリースされた数字・年金額は、2月号でご報告申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。