●メタボリックシンドロームを防ぐ生活習慣改善術「脂質異常症」
保健師さんが脂質異常症の人にアドバイス 「魚中心の和食」の意外な落とし穴
肥満に加え、健診で脂質異常症を指摘された山田さん。
好きな肉を控えて魚中心の和食に切り替えたものの、
半年たっても数値にあまり変化は見られません。
しかし保健師さんの指導を受けたら、3カ月で大きく改善しました。
その理由は…。
●相談者のカルテ
山田順一さん(仮名)
公務員
43歳・男性
● データ
ウエスト周囲径 88cm
中性脂肪(TG)値 196mg/dl
HDLコレステロール値
43mg/dl
収縮期血圧 150mmHg
拡張期血圧 90mmHg
空腹時血糖値 118mg/dl
若いときから肉や揚げ物が大好き。

しかし、先日の健診で肥満や脂質異常症を指摘され、
「食生活を魚中心の和食に切り替えなさい」と
医者にいわれました。

自分ではきちんと実行しているつもりですが、
なかなか数値は改善しません。
山田さんのように肥満や脂質異常症の人が増えている背景には、「高脂肪」「高たんぱく」に傾きやすい食習慣があります。特に脂質では、肉の脂は悪玉コレステロールを増やす飽和脂肪酸。

一方、青背魚などの脂は不飽和脂肪酸で、善玉コレステロールを増やし、血栓を溶かす働きがあります。その意味で、主菜を肉から魚中心に、また栄養がバランスよくとれる和食への切り替えは正しい選択です。

ただ、ここで注意したいのは、肉の脂も魚の脂も1g=9kcalということ。
脂質量では肉に引けをとらない魚も意外に多く(下表)、調理の仕方によっては、エネルギーのとり過ぎにつながります。また、血圧が高めの山田さんは塩分のとり過ぎにも注意したいところです。
ふだん食べている肉や魚の脂質量をご存じですか?
参考:五訂増補食品成分表2007
山田さんのある日のメニュー
・サバの塩焼き エネルギー量829cal 塩分量6.1g
・ポテトサラダ
・キンピラ小鉢
・ごはん(1膳)
・豆腐とネギのみそ汁
意外に多め!
*サバは半身を使用したときの目安です。
ちょっとメニューを工夫すれば…
・タラのホイル焼き エネルギー量523cal 塩分量4.0g
・ワカメとキュウリのレモン酢かけ
・サツマイモと切りコンブの煮物
・ごはん(1膳)
・豆腐とネギのみそ汁
大幅なエネルギーダウンに!
POINT1 素材と調理方法による脂質量には敏感に
サバの脂質は牛ヒレ肉の約2.5倍。文字通り「アブラがのって」 います。
またマヨネーズなどに含まれる油も意外に多く、キンピラを炒める際にも油を使います。
揚げ物は控えていた山田さんですが、こうした“見えにくいアブラ”に気づいたことで、
蒸し物やホイル焼きなど油を使わない献立を上手に選ぶようになりました。
POINT2 酸味や香味で上手に減塩を
塩分は体に必要なものですが、血圧管理のためには1日6g未満に抑えたいもの。
そこで、酢やレモンなどの酸味、コンブやカツオブシなどのうま味、
シソやショウガ、ニンニクなどの薬味をうまく使い分け、減塩につなげています。
3ヶ月後の感想
外食のときは
エネルギー量と
塩分を
できる限り確認
しています。
●3ヵ月後のデータ
ウエスト周囲径 86cm
中性脂肪(TG)値 145mg/dl
HDLコレステロール値
45mg/dl
収縮期血圧 140mmHg
拡張期血圧 86mmHg
空腹時血糖値 102mg/dl
肉や魚の脂質量には敏感になり、さらに油っぽい料理は1食に1品まで。
多めにとったときは、その週の中で調整するようにしました。

自然に数値も改善し、よい結果が現れれば、また続けようという気持ちになりますね。