●メタボリックシンドロームを防ぐ生活習慣改善術「禁煙」
保健師さんが喫煙者にアドバイス たばことの上手な別れ方
どうしてもたばこをやめられない太田さん。
しかし保健師さんの指導を受けて、一歩手前で、
メタボリックシンドロームから免れた例を紹介しましょう。
●相談者のカルテ
太田明男さん (仮名)
電機メーカー勤務
48歳・男性
● データ
腹囲 87cm
体重 68kg
中性脂肪 183mg/dl
LDLコレステロール値
175mg/dl
HDLコレステロール値
38mg/dl
収縮期血圧 142mmHg
拡張期血圧 88mmHg
空腹時血糖値 105mg/dl
毎日たばこを20本以上、20年間以上吸っています。

先日、仕事中に過労で倒れ、病院の先生から
「こんなになっても、たばこをやめないのか!」
と叱られ、初めて禁煙を決意しました。

しかし、お酒を飲んだときやイライラしたときに、
ついがまんできず吸ってしまいます。
血圧が高い太田さんにとって、吸うたびに血管を収縮させるたばこは、
ますます高血圧を悪化させてしまいます。

血液もドロドロになりやすく、いやおうなく動脈硬化も進行することになります。

あまり知られていませんが、1日20本以上の喫煙が血管に与えるダメージは、
40kgの体重増に匹敵するくらい大きいのです。

太田さんのように喫煙歴が長く、本数も多くてニコチン依存度が高い人は、
少量のニコチンをゆっくり補充して、禁断症状を抑えながら禁煙に導く
「ニコチン代替療法」をぜひおすすめします。

禁煙外来があり、保険適用が承認された医療機関で、依存度が高いと診断されれば、
医療保険も適用になりますよ。
いざ禁煙外来へ!
ニコチンパッチを利用し、少しずつ「吸わなくてもいい」体に。
●準備
1 喫煙状況やニコチン依存度を診断(初回診療)
まず、ここで自分の依存度や禁煙の目的を明確にします。
   
●禁煙スタート
ニコチン代替療法の説明を受け禁煙開始(2度目の診療)
使用するニコチンパッチは、朝起きたら腕や背中などに貼り、寝る前に剥がします。
大(直径62mm)中(直径51mm)小(直径36mm)の3種類があり、
ニコチンの依存度によって使い分けますが、太田さんは(大)からスタート。
1週間
ニコチンパッチ(中)で治療を継続(3度目の診療)
1カ月続け、体が「吸わない生活」に慣れてきたので、パッチを(中)に変更。
2週間
ニコチンパッチ(小)で治療を継続(4度目の診療)
さらに、禁断症状が少なくなってきたので、パッチを(小)に変えて治療を継続。
2週間
完全な禁煙の継続へ
朝に禁断症状が出なくなれば、ニコチン代替療法は終了。
そのまま継続するため、2週間に1回ほど通院して問診を受けます。
POINT1 費用について
初診料、再診料に加えて、以下の薬代がかかります(保険適用の場合は自己負担は3割)。

●パッチ(大) 4週間分430円×28日=12,040円
●パッチ(中) 2週間分400円×14日=5,600円
●パッチ(小) 2週間分380円×14日=5,320円

合計 22,960円(医療保険適用の場合の薬代は6,888円)

※費用は医療機関や個人のニコチン依存度などによって異なります。
POINT2 禁断症状の対応策
●深呼吸する。野菜を食べる。
●冷たいお茶や水を飲む。歯磨きする。
●散歩や軽い体操をする。
●シュガーレスガムや干昆布をかむ。
●お酒の席を避ける。          など
それでも吸ってしまったら… 禁煙成功者の多くは、3〜4回の挫折を経験しています。失敗を恐れず、何度もチャレンジを。
3ヶ月後の感想
たばこの支配から 逃れて自由に なったと感じます。
呼吸も楽に なりました。
●禁煙1年後のデータ
腹囲 84cm
体重 65kg
中性脂肪 152mg/dl
LDLコレステロール値
133mg/dl
HDLコレステロール値
45mg/dl
収縮期血圧 128mmHg
拡張期血圧 75mmHg
空腹時血糖値 100mg/dl

体重も落ちつき
検査値も改善!
ニコチンパッチを貼っても2〜3日目は吸いたくなりましたが、4日目くらいからは少し治りました。

ただ、辛かったのは、食後やお酒の席と、一時的に体重が増えたこと。倒れたときのことを思い出し、がんばりました。

以前はとにかくたばこが手元にないと不安でしたが、今は気にならなくなったことが何よりうれしいですね。