そもそもストレスとは?
「ストレス」とは、もともとは物体に力が加わったときに生じる「ゆがみ、ひずみ」を指す言葉でした。そこから、外部からの刺激により生体がゆがんだ状態を「ストレス状態」、ゆがみを元に戻そうとする反応を「ストレス反応」と呼ぶようになりました。例えば、ボールを強く握ればボールはゆがみ、手には抵抗を感じます。手を離せばボールは元の状態に戻ります。ボールのゆがんでいる状態がストレス状態、戻ろうとする力がストレス反応です。握る力(外部からの刺激)はストレッサーと呼ばれます。現在ではそれらを総称して「ストレス」と呼ぶことが一般的です。
機械化などにより身体的なストレスが減った代わりに、精神的なストレスが気づかないうちに増えてしまった現代社会。さまざまなストレスが互いに絡み合い、対処するのも容易ではありません。
ストレスは体に悪い?
ストレスといえば、仕事のノルマや人間関係、離別などつらいことや悲しいことがまず思い浮かぶかもしれません。しかし実はストレスはつらいこと、悲しいことだけではありません。昇進や結婚などのおめでたいこともストレッサーとなり得ます。また暑さや寒さ、騒音、においなどもストレッサーです。
私たちの日常生活はストレスに囲まれています。生きていく上で不可避ではありますが、うまくコントロールできれば能率も上がり、日々を快適に過ごすことにもつながります。ストレスは、適切に対応できれば「人生のだいご味」となるといっても過言ではありません。
ストレス状態が続くとどうなるか
ストレスを受けると、心身はいったんショックを受けるものの、抵抗力を高めて適応します。しかし長引けば次第に抵抗力は失われ、心身の状態は悪化していきます。無理や頑張り過ぎは禁物。心や体が発するサインに耳を傾け、早めに手を打つことが大切です。
大切なのは、付き合い方
ボールに強い力が加わり続けたら、ボールは変型したり、空気が抜けてしまったりします。それと同じで、健康でしなやかな心であれば、ストレスをはね返すことも、ストレスがなくなれば元の状態に戻ることもできます。しかし、あまりに刺激が大き過ぎたり長期にわたったりすると、対応し切れなくなり、心身に不調を来す危険性があるのです。ストレスが過剰になると、さまざまな問題が引き起こされます(右記参照)。場合によっては、深刻な事態に発展するケースもあるので注意が必要です。
また、ストレスの厄介なところは、主観的な感覚による個人差が大きいこと。大きな目標をバネにバリバリ頑張る人がいる一方、同じ目標をプレッシャーやノルマと感じて苦しむ人もいます。なくしたり避けたりすることよりも、ストレスといかに上手に付き合っていくかを考えることが大切なのです。