未来の不安に悩む時間を捨てて
ポジティブな未来を選んで行動しよう

私の産業医面談の中で、ストレス対策の次に多いのが、不安に関する相談です。そもそも❝不安❞とは何でしょうか。

不安とは、未来に対する「恐怖」の感情で、「漠然」としたものです。人間は、過去に対しては不安を感じません。過去の出来事の結果として、未来に不安を感じることはありますが、過去の出来事そのものには不安を覚えません。

不安に対処するには、まず「不安に思っていることは、実際にはまだ起こっていない未来のことである」ということを、認識することです。未来のことは実際にはどうなるか分からないのですから、不安を感じても仕方ありませんね。これを思い出せば、不安な気持ちが、自分を幸せにしてくれるわけではない、と思えるでしょう。

さて、不安に悩まない人の大半は「捨てる」という習慣を行っています。「捨てる」とは、これからの行動の選択肢の中から自分の人生の中での優先順位を意識し、やりたいことを選んでその他を捨てることです。つまり、「優先順位をつける、選ぶ」という習慣を持つことです。

不安に悩まない人の多くは、やりたいことを決める前に、やりたくないことも考えています。やりたいことを選ぶ（決める）ことも大切ですが、もっと大切なのは、やりたくないことを捨てるということです。

不安や不平・不満というネガティブな感情は、どんなに改善しても、マイナスがゼロにしかならず、自分の幸せにはつながりません。不安に上手に対処している人は、不安の解決に頭を悩ませている時間をさっさと捨てて、よりポジティブな感情にフォーカスして「やりたいことを選んでいる」のです。

もしも不安ばかりが頭に浮かんでしまったときは、「不安は減らさなければならない」という考え方をまずは捨て、自分の中のポジティブな感情に動かされて行動してみてはいかがでしょうか。