人は予想していないことや想定外のことに影響(インパクト)を受けやすく、より大きなストレスを感じます。
自分に想定外のことが起こったとき、職場で優秀なできる人と評価されている人たちほど想定外を考えておらず、実はストレスに弱いという例を、私は産業医としてたくさん見てきました。
一方、ストレスに悩まされない人たちは、このような状況に上手に対処する「構える」という習慣を持っています。
このような人たちは、「想定内の範囲が広い」という特徴があります。しかしこれは決してA、B、Cパターンのようにあらゆることを想定しているのではありません。この人たちは歓迎したいベストシナリオだけでなく、想定外としてワーストシナリオもしっかり考えているため、その間の想定内の幅(扇のイラスト参照)が広いのです。
想定内のことについては、身❝構えて❞対処することができます。起きてしまったことに上手に対処できる人は、その現実を受け入れられます。そして、「そこにどのような意味、意義があったのか?」
「5年後、10年後にどう考えられるのか?」
などと考えることができるのです。
過去に意味を与え、さらに未来に起こりうることに備える。これこそ、ストレス知らずの人の考え方、習慣です。
考えるべきワーストシナリオのパターンは人それぞれですが、まずは仕事、人間関係(家庭)、お金、健康、住居などの「ワーストシナリオ」=想定外を考えてみるといいのではないでしょうか?
とはいえ、悪いことばかりを想像するのもよくありません。最悪のパターンを考えた後は特に、その反対側「ベストシナリオ」=夢が叶った最高の状態を想像(妄想?)しましょう。「こんなことが起きたらいいな」というケースを日頃から考えておくことも大切です。
その際にはぜひ、白黒よりもカラー、静止画よりも動画で想像しましょう。さらにうれしさや喜びなどの感情も被せて想像できると、より実感が芽生え、夢が叶いやすくなるともいわれています。一人でいるときなら、ニヤついてしまうくらいがいいのかもしれません。
ぜひ一度、読者の皆さまもそれぞれのシナリオを考えてみませんか?
予想外のことが起こるから、ストレスになってしまうのです。普段から最悪の事態を想定し「構える」習慣を付けておけば、例え思い通りに進まなくても柔軟に対応できます。
インプロとは、improvisation(即興劇)の略称。即興で仲間とストーリーをつくる技術は、コミュニケーション能力や自由な発想の手助けにもなるとしてビジネスやさまざまな分野で注目されています。仕事でも遊びでもその場の状況に素早く反応し、受け入れる力が芽生えて、ストレス知らずに!
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