恐怖や不安は人が持つ原始的な感情です。これらを感じたとき、心は緊張し、身体はこわばっています。大切なのは、この緊張と縮こまった筋肉などをほぐし、リラックスすることです。
不安に上手に対処できる人たちは身体を使う習慣があることで、その都度うまく緩和できています。その代表的な身体の使い方を3つ紹介しましょう。
1つめは、水泳、ジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動や、一定のリズムを伴ったリズム運動です。これらの運動はセロトニンという脳内伝達物質の分泌を増やし、活性化させます。
セロトニンは幸せホルモンともいわれ、身体の緊張を和らげ、気持ちを落ち着かせる働きがあります。例えば、大リーグの選手で試合中にガムをかんでいる選手がいますが、かむことはリズム運動の一つなので、ガムをかんで不安や緊張を紛らわせているのです。
2つめは、100mダッシュ、腕立て伏せ、懸垂、筋トレなどの強めの運動です。何かの行動に集中しているときに、昨日のけんかを思い出したり明日の会議について悩んだりするのはなかなか難しいですよね。強めの運動をしているときは不安になる暇がないのです。
また、ダメージを受けた筋肉を修復するために、成長ホルモンや、アドレナリンなどの抗ストレスホルモンが多く分泌されます。これらは身体(筋肉)の修復の他、負荷に対する耐性をつくってくれます。
3つめは、その場でできる静止運動です。それは、瞑想(めいそう)や深呼吸などの他に、姿勢を正す、笑うなどいろいろあります。姿勢を正して気を引き締める、口角を上げるなどを意識するだけで気分が変わります。特に私が個人的におすすめしたいのは、すぐにできて効果も抜群な「上を向く」ことです。最近は、背中を丸め、下を向いてスマホをのぞき込む姿勢をよく見かけます。
試しに、今、空を見上げてみてください。きっと落ち込む気分にはなれず、前向きになれますよ。
緊張している自分に気づいたとき、「どうしよう」「落ち着かないと」と、焦ってしまうことありませんか? そんなときは、身体を上手に使って気持ちも身体もほぐしてリラックス。波音を聞きながら、フラダンスでスッキリした犬山くんは、きっと落ち着いてプレゼンできたでしょうね。
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