お化け屋敷で「何秒後に上から出ます」「左側が動きます」などと書いてあったら、全然怖くありませんよね。漠然としているから怖いし、不安なのです。
恐怖の根本は、お化け屋敷ではなくそう感じさせているもの、それは私たちが日常で感じる心のお化け=「心の不安」にあります。
現代は、不安で眠れないという人の相談をよく受けます。そんなときは、客観的に見ることができるように不安を書き出したり、一人で抱え込まず人に話したりしてみてください。
「書く」行為には、不安の原因がはっきりする他、後になって読み返せるというメリットがあります。後日、「あれはささいなことだった」と自分で気付く経験を重ねることが大切です。
実際に書き出した不安を眺めてみて、「対処が思い浮かぶ不安」と「対処不可能な不安」に分けましょう。前者に対しては、実際に行動を起こして対処するのが一番です。その後は時の流れに身を任せてください。では、対処できない不安は、いったいどうすればいいのでしょうか?
実は対処できない不安の多くは、実現していないのです。書き出してから3〜4週間後に「本当に起こったかな?」とメモを見返してみてください。たいていの場合、「何も起こっていないじゃないか」と実感できると思います。
書くより簡単にできるものに「人に話す」という方法があります。人に話すときは無意識に話を整理しているので、不安の中身が整理され、落ち着いて考えられるようになります。さらに「理解してくれる人がいる」と知ることで自己肯定感が高くなり、孤独や不安が和らぎます。
不安は一人で抱え込まず、人に話しましょう。相手は専門家でなくても構いません。うんうん、と話を聞いてくれる家族や友人でもいいのです。不安に対する具体的なアドバイスをもらえなくても、話をするだけで不安はかなり解消できるのです。
人に話しただけで「すっきりした」という経験はありませんか? 不安は原因を整理して、はっきりさせることが解決の糸口になります。不安ばかりが先走りし過ぎて、冷静に考えられなくなってしまった猫田くんは、「書く」という行為で本当の原因に気付くことができましたね。
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