お話

NPO法人メンタルレスキュー協会 理事長
下園壮太しもぞのそうた

1959年生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。初の心理幹部として、多数のカウンセリングを経験。退職後はNPO法人メンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、自治体、企業などに向けてストレスコントロールなどの講演・トレーニングなどを提供。『令和時代の子育て戦略』(講談社)、『「一見、いい人」が一番ヤバイ』(PHP研究所)など著書多数。

“なんとなく不安”

illust

これといって「何が」という訳ではないけれど、仕事のこと、お金のこと、将来のことなど、“漠然とした不安”で落ち着かないー。

不安は、危険を先読みして、それを回避するために役立つ感情です。とはいえ、私たちは小さな不安はつい見て見ぬふりをしてしまいがちです。すると気付かないうちに、大小さまざまな不安が積み重なって膨れ上がり、やがて正体不明の“漠然とした不安”を生み出すことに。加えて、何も行動を起こしていない自分への焦りやいら立ちが、余計に不安をあおるのです。その状態を放置していると、じわじわと心が消耗していき、本来の能力を発揮できない状況を招きかねません。

おすすめの対策は、まず自分の中に渦巻いている不安を「見える化」すること。どんなに些細なことでも、不安に感じていることをリストアップしてみてください。次に、一つひとつの不安に対し、何かしらの行動を起こしてみるのです。例えば、仕事とお金のことが不安なら、転職サイトに登録をする。何なら求人情報を見てみるだけでも構いません。情報収集をして、知識を深めることも立派な第一歩。とにかく不安の正体を明らかにし、少しでも「行動を起こす」ことが大事です。

人は「良い情報」より「悪い情報」に対し、より敏感に反応するもの。ネットやテレビなどから、次々と飛び込んでくるネガティブな情報につい目が行ってしまい、知らないうちに過剰な不安を募らせてしまいがちです。日頃から、膨大な情報の中から「自分にとって何が必要なのか」を見極め、不要な情報をできるだけシャットアウトすることも、余計な不安を増やさないための一つの方法と言えます。

生きている限り、不安が完全に無くなることはありません。誰しも、何かしらの不安を抱えているものです。大切なのは、自分の中の不安から目を背けず、上手に付き合っていくこと。すぐに解決できなくても焦らないで。不安に対して着実に行動を起こすことが、自分自身を幸せな未来へと導くことにつながっていきます。

不安は漠然としたままにせず、小さく分割を。
一つひとつに対処すれば、
心が少しずつ軽くなります!

TOPへ戻る

Copyright (C) 社会保険出版社 All Rights Reserved.