お話
NPO法人メンタルレスキュー協会 理事長
下園壮太しもぞのそうた
1959年生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。初の心理幹部として、多数のカウンセリングを経験。退職後はNPO法人メンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、自治体、企業などに向けてストレスコントロールなどの講演・トレーニングなどを提供。『令和時代の子育て戦略』(講談社)、『「一見、いい人」が一番ヤバイ』(PHP研究所)など著書多数。
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趣味がないのって変ですか?
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「働き方改革」の流れで、仕事に費やす時間が減って、「時間を持て余している」という人が少なくありません。周囲の人から「休みの日は何をしていたの?」と聞かれるたびに居心地が悪く、あまり気乗りはしないけれど、「無理やり趣味をつくるべきか……」と悩む人もいます。
実は仕事熱心なタイプの人ほど、趣味に対し、価値を見いだしにくい傾向があります。時間とお金を費やしても、一見これといった見返りがないように見え、趣味は「意味がない」「生産性がない」と感じる人も。しかし生産性だけを追い求めていると、いつか苦しくなる。何か自分にぴったりの趣味を見つけておきたいものですが、そう簡単なことではありませんよね。そこで、趣味探しのちょっとしたコツをご紹介します。
一つ目は、色々な趣味を「味見」すること。「面白そう」と思うことをいくつか試しにやってみて、自分に合うか確かめる方法です。「しっくりこない……」と感じたら、別のものを試してみる。とにかく、気軽な気持ちでどんどん試すことがポイントです。
二つ目は、「知識を増やす」こと。味見をしてみながら、その分野についていろいろ調べてみるのです。食材や調理法などのうんちくがあると、料理が一層味わい深くなるように、知識が増えるに従いそのテーマへの関心も深まりやすくなります。その過程で仲間ができれば、一気にその世界の楽しさが広がります。
ただし、趣味探しは心身のエネルギーが充実しているときにしましょう。疲れていて何もする気が起きないときには、頑張り過ぎず休息を優先してください。
仕事や育児、介護など、今は「やるべきことで精一杯」という人も、ほんの少し手が空いたときに、将来の生活について想像してみたり、パートナーと話してみたりしておくといいかもしれません。これから先の人生をより充実感のあるものにしたいと考えたとき、「趣味」は意外と大きな役割を果たしてくれるはずです。