お話

NPO法人メンタルレスキュー協会 理事長
下園壮太しもぞのそうた

1959年生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。初の心理幹部として、多数のカウンセリングを経験。退職後はNPO法人メンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、自治体、企業などに向けてストレスコントロールなどの講演・トレーニングなどを提供。『令和時代の子育て戦略』(講談社)、『「一見、いい人」が一番ヤバイ』(PHP研究所)など著書多数。

人生、このまま平凡に終わるの!?

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子供の頃には、「ああなりたい」「こうなりたい」という夢があったのに、社会人になったら、目の前の仕事をただこなすだけで精一杯の日々。大きな不満があるわけではないけれど、「この先、このまま平凡に過ごしていくのだろうか」と、今の自分の生き方に疑問を抱く―。そんな経験、ありませんか。

人は誰でも、社会に出れば、世の中のさまざまな現実と向き合います。地に足を着けて生活を送ることは、それだけで大きなエネルギーを使うもの。ふと気が付けば、「子供時代の夢をいつの間にか見失っていた」ということは、よくある話です。いわば、大人の宿命とも言えるかもしれません。

世の中には、幼い頃の夢をいちずに追い続けて叶える人もいて、世間では、それを美談とする傾向があります。しかし、諦めずに努力していれば、必ず夢を叶えられるとも限りません。

世の中の移り変わりが激しく、5年先すら見えづらい昨今、たとえ子供時代になりたい職業があったとしても、将来、その職業が存在しているかどうか誰にも分かりません。反対に、ユーチューバーやeスポーツプレーヤーのように、数年前には存在していなかった職業が、近い未来に生まれることだって有り得ます。そもそも子供の頃の興味や関心が、歳を重ね、さまざまな経験をするうちに変わっていくのは自然なこと。周囲や自分が常に変化し続けている中、夢に限らず一つのことにこだわることは現実的にも難しく、夢を見続けられないことを負い目に感じる必要などないのです。

日々の生活に向き合うことは、平凡に生きることとは違います。それは、これまでの地道な経験や努力の積み重ねの上に成り立つ、かけがえのない人生に他なりません。ただ、こんなふうに疑問を抱いたときは、「この先、どう生きていきたいのか」と自分自身に問いかける機会にしてみてください。顔を上げて、世の中の動きを観察してみるのもよいでしょう。新しいニーズを見つけたり、自分の強みを生かして挑戦してみたいことが見えてきたりするかもしれませんよ。

流されるような毎日でも、
時には顔を上げてみる。
ふと、新しい夢の扉が見えてくるかもしれません

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