お話
NPO法人メンタルレスキュー協会 理事長
下園壮太しもぞのそうた
1959年生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。初の心理幹部として、多数のカウンセリングを経験。退職後はNPO法人メンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、自治体、企業などに向けてストレスコントロールなどの講演・トレーニングなどを提供。『令和時代の子育て戦略』(講談社)、『「一見、いい人」が一番ヤバイ』(PHP研究所)など著書多数。
三日坊主の子供を変えたい
宿題、習い事にクラブ活動……、一度は思い立って始めるものの、なかなか長続きしない。そんな子供の三日坊主を、「何とかしなければ」と悩む親は、少なくありません。
そもそも、なぜ三日坊主になるのかといえば、その答えは簡単。“続けるだけの価値”を見いだせないからです。誰しも、できることなら無意味なことやつまらないことに、貴重なエネルギーを使いたくないと思うもの。いわば、三日坊主は人間の“基本的な反応”です。
とはいえ、「一度始めたら、最後までやり通すべき」「継続こそ力なり」と育てられた親世代にしてみれば、すぐに飽きたり、面倒くさがったりする子供の姿に、不安を覚えるのも無理はありません。「この子の幸せのために」と、あの手この手を使って、何とか続けさせようと苦労しているかもしれません。
ここで一度考えてみてほしいのが「今、それを我慢して続けさせることが、本当に必要か」ということ。この先、子供たちが生き抜いていかなければならないのは、AI技術が発達し、新しいことが次々と生まれる変化の激しい世の中です。今ある仕事の多くはAIやロボットが担うようになり、さまざまな職業が姿を消したり、大きく内容を変えていったりすることも予想されます。そのような目まぐるしい変化の中では、気持ちの切り替えの早さや、自分の直感や感性を生かして社会のニーズを発掘し続ける力こそ必要になります。視点を変えれば、三日坊主を繰り返すことは、試行錯誤しながら自分の価値感を模索し磨く作業ともとれます。それは、新時代を生き抜く力を養うことにつながるかもしれません。
継続力や粘り強さは、あるに越したことはありません。同時に、子供の素直な感性も伸ばしたいもの。親がすべきは、子供が夢中になれるものを見つけるために、さまざまな経験の場を用意すること。子供がどんなことに興味を示すか、ワクワクしながら楽しむ気持ちで、見守ってください。