で、結局何が言いたいの?

「で何がしたいの?」「結局、何が言いたいの?」「言っていることの意味が分からない」などと言われてしまう人は、自分の思いや考えを伝えるときに、「PREP(プレップ)法」を使ってみるのがおすすめです。

PREP法とは、Point(伝えたい主旨)→Reason(その理由)→Example(例示)→Point(主旨をもう一度)を順に話す方法です。主旨に理由と具体例を添えると説得力が増し、話が伝わりやすくなります。しかし、主旨は言えても「理由」や「例」を挙げられない人もいるでしょう。

例えば、こんな場面を考えてみます。

指導する先輩が「いいか、お客様との約束を守ることは大事なんだぞ。よく覚えておけよ!」と一言で済ませると、後輩は、「はい」と返事はしても、深く肝に銘じているとは限りません。「約束したことをちゃんとやればいいわけね」などと、表層的な理解に留まっている可能性もあります。

これをPREP法で説明するとどうでしょう。

「いいか、お客様との約束を守ることは大事なんだぞ(Point)。なぜなら、約束をきちんと守り続けることで信頼がたまっていき、その深い信頼が次の仕事につながるからなんだ(Reason)。例えば、お客様が新しい仕事を依頼しようと考えたとき、日頃から約束を守る企業のほうが、新しい仕事でもちゃんとやってくれそうだと思い、選ばれやすくなる(Example)。だからこそ、約束を守ることは、とても大切なことなんだよ(Point)」。

PREP法は、日常のあらゆる場面で活用できます。職場での上司への報告や同僚への相談、家族への連絡、友人への頼み事などには、PREP法を頭において、伝えたい主旨だけでなく、理由と例も添えるよう意識しましょう。

PREP法は聞き手側にも応用ができます。相手の言っていることが理解できないとき、「なぜですか?」「具体的には?」と問いかけるのです。話の主旨に、その理由と例が加わると、相手の話が理解しやすくなります。

Profile

たなか じゅんこ1986年日本DEC入社、IT技術教育に従事した後、コミュニケーションなどビジネススキル教育を手掛けるようになる。1996年から現職。著書に『現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)、『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』(共著、日経BP社)など。

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