監修
せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅司くでけん つかさ
2003年東邦大学医学部卒業。2013年より現職。全国でも数少ない気象病外来、
寒暖差疲労外来を開設している。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)など。
ベタつきやにおいなど、嫌な面が注目されがちな汗ですが、健康維持には欠かせません。例えば、皮膚の上で蒸発し体を冷やして体温を調節しています。また皮脂と共に皮膚を外部刺激から守る、いわば「バリア機能」の役割もあります。
隠れた働き者の汗ですが、ときに肌の炎症を招く原因に。特に、夏は強い紫外線のダメージやエアコンなどで肌が乾燥し、バリア機能が低下して炎症が起きやすい状態になっています。
汗を拭かずにそのままにしておくと、汗に含まれる塩分やアンモニアなどの成分が肌を刺激。「汗荒れ」と呼ばれる炎症を引き起こします。また、汗をたくさんかいて汗管(汗を排出する管)が詰まり、いわゆる「あせも(汗疹)」ができることもあります。あせもは乳幼児に多いですが、猛暑の影響や抵抗力が低下すると大人でも要注意。市販の塗り薬でも改善しない場合、細菌などの感染が疑われるので早めに医療機関(皮膚科)に相談を。
日焼け止めや日傘などで紫外線対策を行いながら、肌へのダメージを軽減し、夏を乗り切りましょう。
汗を拭かないで放っておくと、水分が蒸発し汗に含まれている塩分やアンモニアなどが肌を刺激する。肌が赤くなり、かゆみを伴いかぶれた状態に。
首回りや腰回りなど、衣服との摩擦や蒸れが起きる部分がなりやすい。
汗管(汗を排出する管)が、大量の汗や皮膚の表面の汚れなどによって詰まり、行き場のない汗が皮膚の中にたまる。たまった汗が周囲の組織を刺激して、皮膚が炎症を起こし、小さな水ぶくれやブツブツができる。
汗はハンカチなどで、トントンと押すように拭きとります。汗で蒸れないように、吸汗速乾素材の衣類もおすすめ。
汗が蒸発するときに、肌の水分も一緒に奪われてしまいます。さらっとしたジェルタイプの保湿剤で夏も保湿を。
健康な肌に欠かせないたんぱく質やビタミン、亜鉛で内側から肌を整えます。冷たいもののとり過ぎも、血行の悪化から乾燥を加速させるので要注意。
こすり洗いは、バリア機能に必要な皮脂まで落とし、乾燥や炎症を悪化させるリスクがあります。よく泡立てるのもポイントです。
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