監修

せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅司くでけん つかさ

2003年東邦大学医学部卒業。2013年より現職。全国でも数少ない気象病外来、
寒暖差疲労外来を開設している。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)など。

急激な温度差が危険ヒートショック

日常生活で対策をしっかりと

ヒートショックとは、急激な温度の変化で体にダメージがかかることを指し、突然死を招きかねない危険な状態です。例えば、暖房の効いた居間から寒い脱衣所へ移動し、入浴するときは要注意。短時間の温度変化で血圧が上下し、心臓や脳の血管に負担がかかります。軽度であれば目まいや立ちくらみ程度で済みますが、時には心筋梗塞や脳梗塞など重篤な事態を招くことも。浴室やトイレなどでの発生が多く、転倒したり意識を失ったり、浴槽で溺れたりして発見が遅れ、重大な事故につながってしまうことがあります。

ヒートショックは、毎年秋から冬にかけて多く発生しています。特にリスクが高い人は高齢者で、加齢に伴い血圧や体温が不安定になりやすいことが原因の一つと考えられています。また年齢を問わず、高血圧や糖尿病、肥満気味の人も注意が必要です。急激な温度差は高齢者でなくとも体への負担が大きく、飲酒後などのリスクが高いときには若い人でもヒートショックを起こすことがあるので油断は禁物です。

日常生活で対策を行い、安全に冬を乗り越えましょう。

1つでも当てはまる人は要注意。日常生活でできる対策を行い、ヒートショックのリスクを抑えましょう。

脱衣所にはヒーターなどの暖房器具を置き、浴室を温めるために、浴槽のふたを前もって開けておきます。

入浴で失われる水分を、事前に補給します。同居家族がいれば、一声かけておくと万が一のときに安心です。

お湯の温度は40度程度が適温です。脱水症状を防ぐために、長時間つからないようにしましょう。浴槽から出るときは、急に立ち上がらずゆっくりと。

特に高齢者は、食後に血圧が低下し、目まいや失神を起こしやすくなる場合があります。食後や飲酒後だけでなく、睡眠剤や精神安定剤の服用後の入浴も控えて。

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