監修

せたがや内科・神経内科クリニック 院長 久手堅司くでけん つかさ

2003年東邦大学医学部卒業。2013年より現職。全国でも数少ない気象病外来、
寒暖差疲労外来を開設している。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)など。

冬でも注意!食中毒

ノロウイルスの脅威から身を守ろう

食中毒といえば、じめじめした梅雨や暑い夏に注意が必要というイメージがありますが、実は冬から春にかけて多くの事例が報告されています。

食中毒の主な原因には、細菌性とウイルス性の二種類があります。高温多湿を好む細菌による食中毒が夏場に多く発生する一方、低温で乾燥した環境でも生息できるウイルスによる食中毒は冬に多く発生します。中でも代表的なものがノロウイルス。感染力が非常に強く、集団感染しやすい傾向があり、近年は食中毒の年間患者数の約半数を占めています。感染経路は、ウイルスに汚染された食品を加熱不十分なまま食べる「食品からの感染」や、感染者の嘔吐おうと物や便から感染する「人からの感染」などがあります。

潜伏期間は1~2日程度で、急な吐き気や嘔吐、腹痛や下痢などの症状が現れます。治療薬はなく、水分補給を行い安静にすることが第一。体力の弱い乳幼児や高齢者は脱水症状や重症化への注意が必要です。下記の対策を徹底し、寒い冬を健康に乗り越えましょう。

細菌性食中毒の予防は「つけない、増やさない、やっつける」の3原則です。しかしノロウイルスの場合、食品中ではなく人の腸内で増殖するため、上記の3原則に加え「持ち込まない」ことも重要です。

普段から手洗いや、健康管理を心掛ける。下痢、嘔吐などの症状があるときは、食品を直接取り扱う作業をしない。

帰宅時、トイレの後、調理の前、食べる前など小まめに手洗いを。加熱不要なサラダなどが汚染されないよう取り扱いに注意する。

食品をしっかり加熱調理する(中心部の温度が85℃~90℃で90秒以上)。

ノロウイルスが身近で発生したときには食器などの消毒を徹底する。また、感染者の嘔吐物などから二次感染をしないよう適切な処理をする。

ノロウイルスの感染力を失わせるには、消毒用アルコールでは十分な効果を得ることができないといわれています。次亜塩素酸ナトリウム(台所用塩素系漂白剤など)を使って消毒をしましょう。

汚れた衣類、調理器具やドアノブなどの消毒用

1Lのペットボトルに入れた水に、キャップ1杯(5mL)の漂白剤を

嘔吐物などの処理用

500mLのペットボトルに入れた水に、キャップ2杯(10mL)の漂白剤を

※消毒液が入ったペットボトルには必ず「消毒用」と明記し、誤飲防止の対策を。また、時間経過とともに消毒効果がなくなるため作り置きはしません。

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