space space space
ほうほく元気プラン21
space space space
山口県豊北町 人口:13,359人 高齢化率:34.4% 保健師数:5名
space space space
1. 豊北町の概要
2. 「ほうほく元気プラン21」策定に取り組んだ背景
3. 計画策定にあたっての保健師の位置づけ
4. 情報収集の方法
5. 健康づくりの目標(スローガン)
6. 計画策定のための組織
7. 「ほうほく元気プラン21」における事業の柱
8. 保健事業の内容
9. 数値目標の設定
10. 「ほうほく元気プラン21」策定の成果
11. 今後の課題
space space
豊北町の概要
   豊北町は,山口県の西端に位置し,面積168.59平方km²,人口13,359人で,農林水産業を主体とした,自然環境に恵まれた町です。東西18km,南北20kmのほぼ円形状になっている本土と,北西約1.5kmの海上に鼓形をしている角島とでなっています。角島をはじめ,長い海岸線(約51km)は,公害の影響が少なく,澄みきった海と美しい風光で北長門海岸国定公園に指定されています。
 交通は,JR山陰本線と国道191号がほぼ海岸線に並行しており,町を南北に二分するようにして国道435号がとおっています。
 町の文化財については,国指定の土井ヶ浜遺跡,恩徳寺の結びイブキ,壁島ウ渡来地があり,県指定の浜出祭(7年に一度),滝部八幡宮のイチイガシ,阿川八幡宮のイヌマキ巨樹群,旧滝部小学校本館(現在,歴史民俗資料館)があります。
 また,町指定の文化財としては,滝部八幡宮の腰輪踊,肥中七社々業,大川客神社々業,角島夢崎のハマオモト,神玉住吉神社のぼん鐘,江田家文書,附野薬師の流潅頂等があります。
space  
space space
「ほうほくプラン21」策定に取り組んだ背景
   平成11年度から3か年のモデル事業(地域保健特別推進事業)として,4町の広域の地方計画を策定しようということになり,取り組みに至りました。
 策定に際し,なかなか4町の足並みが揃わず,策定に着手するまで,4町それぞれの思いや考え方を調整するのが大変でした。当初は,広域の計画を策定するつもりでしたが,最終的には広域計画を実行するための4町それぞれの実行計画ができました。
space  
space
topへ TOPへ
space
space space
計画策定にあたっての保健師の位置づけ
   豊北町においては,保健師がリーダーとなって計画策定を進めました。また,首長や上司も,計画の策定にとても協力的でした。
space  
space
topへ TOPへ
space
space space
情報収集の方法
  1.「町民の健康に関する意識調査」の実施
   地域保健計画の策定にあたり,町民の健康観や町への要望等を把握し,計画策定に活かすため,平成11年に600名の町民を対象に「町民の健康に関する意識調査」を実施しました。
 調査項目は,町民の健康状態,生活習慣,健康への意識,ウォーキングなど健康推進活動の実施状況等であり,次のような結果を得ることができました。
space space
  「町民の健康に関する意識調査」結果の概要(一部を抜粋して掲載)
 
space space space
space <自分のまちで暮らしていて満足していますか>
イメージ イメージ イメージ
イメージ 「はい」と回答した人の割合が57.6%を占め,半数以上が満足している状況がみられた。 イメージ
イメージ イメージ イメージ
 
space space space
space <ふだん健康だと感じていますか>
イメージ イメージ イメージ
イメージ 「非常に健康」が3.1%ながら,「健康な方だ」と回答した人の割合が70.2%を占めており,大半が健康と感じている状況がみられた。 イメージ
イメージ イメージ イメージ
space
space space space
space <健康観>
イメージ イメージ イメージ
イメージ  町民の健康観は,「心身共に健やか」と回答した人の割合が57.5%で最も高く,これに「人間関係もうまくいく」(38.1%),「何事にも前向きに生きる」(37.3%)「家庭円満である」(34.6%)「仕事ができること」(32.3%),「病気でないこと」(26.5%)・・・と続いている。 イメージ
イメージ イメージ イメージ
space
space space space
space <いきいきと暮らせるまちのイメージ>
イメージ イメージ イメージ
イメージ  いきいきと暮らせるまちのイメージは,「お互い助け合える」と回答した人の割合が42.5%で最も高く,これに「事故等なく安全」(34.4%),「病気でも安心」(33.6%),「自然に恵まれた」(33.1%),「気軽に外出できる」(31.5%),「公害が少ない」(23.9%)・・・と続いている。 イメージ
イメージ イメージ イメージ
space
space space space
space <いきいきと暮らせるまちを実現するために必要なもの>
イメージ イメージ イメージ
イメージ  「保健医療福祉施設」と回答した人の割合が35.4%で最も高く,これに「自然」(22.6%),「労働環境」(21.0%),「道路交通」(18.9%),「公園・遊歩道」(18.6%),「レジャー施設」(16.8%),「保健福祉サービス」(16.8%)・・・と続いている。 イメージ
イメージ イメージ イメージ
space
  2.既存資料の分析
   県や他課の資料等を活用し,豊北町の地域特性(人口・世帯数の年次推移,疾病構造の状況,国保医療費の状況等)について把握しました。
  意識調査,生活習慣調査,既存資料の分析を通じて,健康づくりに向けての課題が明らかになりました。
space space
 
生活習慣病(悪性新生物,心疾患,脳血管疾患など)が増加している。
国民健康保険受診状況では,受診件数の一番多い循環器系疾患の中で,脳血管疾患にも影響を及ぼす高血圧性疾患が約半数を占めている。
健康習慣面では,「運動(散歩)する」人の割合が,他の健康習慣に比べて極めて低い状況である。
循環器疾患の発症には,生活習慣が深く関わっている。そのため,食生活・運動・休養等の生活習慣を改善することにより,循環器疾患等の生活習慣病を予防することが重要である。
これからの健康づくりの推進にあたっては,地域・関係機関・行政が個人の健康づくりを支援していくことが必要である。(こうした考え方を「ヘルスプロモーション」という)
space  
space
topへ TOPへ
space
健康づくりの目標(スローガン)
  「ほうほく元気プラン21」のスローガン
space space
  「ともに笑顔で健やかに」
space space
space
topへ TOPへ
space
space space
計画策定のための組織
   広域の計画策定に向けて,計画策定部会として4町それぞれに部会が設置されました。豊北町は豊北町部会を組織し,平成12年3月1日に第1回の会議を開催し,平成13年7月5日までに計7回の会議を重ねました。
 豊北町部会では,計画の策定にあたって「町民主役」「町民合意の過程を大切にする」「ヘルスプロモーションの考え方」を第一に考えました。
 また,会議には一般住民の代表として11名の方と,民間企業,医療保健福祉関係,行政関係の方の参加を得ることが出来ました。
space space
 
豊北町部会のメンバー
農業関係者,漁協職員,JA職員,衛生自治会連合会,社会福祉協議会,老人クラブ,町議会議員,婦人会,介護者の会,養護教諭,商工会青年部,医師,食生活改善推進員,母子保健推進員,役場職員
space  
space
topへ TOPへ
space
「ほうほく元気プラン21」における事業の柱
   豊北町では,事業の柱を「身体活動」1本に定めました。
space space
space
topへ TOPへ
space
space space space
保健事業の内容
  1.生活習慣の改善
   町民一人ひとりが自分の生活を振り返り,健康的な生活習慣を身につけ,脳血管疾患や高血圧を予防するために,気軽に実践できるウォーキングを中心に,誰もが取り組みたくなるような楽しい事業をすすめます。
space space
space 重点健康目標1生活習慣を重視した健康づくりができる
space space
   健康の大切さや健康習慣の重要性に気づき,実践できることを目指してキャンペーン事業や健康学習をすすめます。そして,各々が日常生活の中で,意識的に身体を動かす機会を多くしたり,ウォーキング,体操や筋力アップ等,一人ひとりが取り組みやすい運動を実践し,それを継続していけるようにします。
  「運動」推進キャンペーン事業 ○14年度に取り組む事業 ●段階的に取り組む事業
○「ほうほく元気プラン21」事業の啓発
○ウォーキング一口推進事業
○「血圧測定」キャンペーン事業
○「万歩計」の貸出
○「ウォーキングデイ」の設定
○「ライフコーダー」の貸出
●ウォーキングカレンダーの作成・配布
●ウォーキング推進スローガンの募集・選出
  健康づくり実践学習
○健康づくり実践者育成事業(生活習慣調査,健康学習,実践学習,健康度評価)
●病態別健康管理教室(高血圧予防教室,高脂血症予防教室,骨粗鬆症予防教室,糖尿病予防教室)
  個別健康学習
○健やか健康家族支援事業
○訪問指導
space space
space 重点健康目標2心と身体の健康管理ができる
space space
   だれもが定期的に健康診査を受け,健康管理ができることを目指し,健康診査事業や健康相談事業をします。
  健康診査事業
○基本健康診査
○がん検診(胃・肺・大腸・子宮・乳がん検診)
○人間ドック(国保被保険者)
●骨粗鬆症検診
  健康相談事業
○地区別病態別健康相談
space space
space 重点健康目標3保健,医療,福祉の連携下で効果的な健康づくりができる
space space
   効果的な健康づくりをすすめるため,保健・医療・福祉の関係者が提携し,事業を進めます。
  個別健康学習
○高血圧症個別健康学習
●高脂血症個別健康学習
●糖尿病個別健康学習
  介護予防教室
●転倒骨折予防教室
●チェアロビクス教室(椅子に座ったままできる有酸素運動)
  個別相談事業
○「健康と福祉の相談室」での総合相談事業
○主治医による生活指導
space space space
space space space
  2.地域活動の強化
   気持ちよく体操をしている人や,仲間となごやかにウォーキングを楽しんでいる人を見ると自分もいっしょにやってみたくなります。地域の中に健康づくりに取り組む仲間がいたり,一緒に行動する家族やグループがあると楽しくなります。また,歩くことで人と出会うことが増え,積極的な仲間づくりや地域のふれあいが高まり,健康づくりの輪が広がります。
space space
space 重点健康目標1地域組織が主体的に健康づくりに取り組むことができる
space space
   地域の組織活動と一体になって健康づくりを進めます。
  キャンペーン事業
○「食」と「運動」の一口推進事業(食生活改善推進協議会)
○みそ汁1%運動推進活動(食生活改善推進協議会)
○老人クラブだよりに健康情報掲載(老人クラブ連合会)
●「町民体育祭」で運動普及事業(教育委員会)
●地区行事で体力づくりの普及事業(体育協会)
○「健康づくりは家庭から」・・・会員による健康づくり情報伝達活動(連合婦人会)
○健康づくり実践者による健康づくり推進活動(連合婦人会)
  健康学習
●生涯学習に「健康学習」を取り入れる(公民館活動)
○健康づくり実践講座の開催(連合婦人会)
space space
space 重点健康目標2地域の中で健康づくりのリーダーが増える
space space
   既存の地域組織で活躍しているリーダーに加え,自発的に健康づくりをすすめる仲間が増えるよう,楽しい健康学習をすすめます。
  健康学習
○健康づくり実践者支援事業
○食生活改善推進員育成支援事業
●母子保健推進員育成支援事業
○体育指導員研修会
●スポーツリーダー養成研究会
●行政職員研修会
space space
space 重点健康目標3健康づくりを実践する自主グループが増える
space space
   地域の仲間でつくっているグループが意欲的に楽しく活動し,仲間づくりの輪を広げます。
  キャンペーン事業
○「健康と福祉のつどい」等への参加
○健康づくりを実践する自主グループのイベントへの参加
  健康学習
○出前講座の開催
●体力チェック事業
●既存の自主グループ活動に「健康学習」を取り入れる(太極拳他)
●生涯学習に「健康学習」を取り入れる(公民館活動)
space space space
space space space
  3.健康づくりを支援する環境の整備
   健康づくりに関わるミニ知識や耳よりのイベント情報が手軽にキャッチできると,より健康づくりに取り組みやすくなります。さらに,車椅子が通れるウォーキングコースがあったり,標識やベンチがあると町民の誰もが一緒に楽しむことができます。また,きれいな花が咲いていたりすると,もっと歩きたくなります。
space space
space 重点健康目標1健康づくり情報を発信する
space space
   個人の健康意識は一人ひとり違います。知りたい情報を提供できるような体制を目指します。
  キャンペーン事業
○広報誌「ほうほく」に掲載
○ホームページの開設
○オフトークによる通信
○イベントの開催(「健康と福祉のつどい」の開催)
space space
space 重点健康目標2健康づくりを実践しやすい場をつくる
space space
   運動(ウォーキング)は,実践できる場や機会があると実践しやすくなります。また,その効果がわかれば,継続しやすくなります。
  イベントの開催
○ウォーキング大会
○夕やけマラソン大会
○「万歩計」の貸出
●「ライフコーダー」の貸出
●ウォーキングカレンダーの作成・配布
  ウォーキング道の整備
●ウォーキングコース(含む名称)の募集
●ウォーキングコースの啓発(マップ作成)
●ウォーキングコースのボランティア活動(缶拾い・花植え)
●ウォーキングコースの標識・ベンチ等の整備
space space
space 重点健康目標3健康づくりを推進する体制を整える
space space
   町をあげていっせいに取り組むような定例の行事を設定したり,今後の町民の皆さんの意見を反映できるような体制を整えます。
  キャンペーン事業
○「ウォーキングデイ」の設定
○「チャレンジデイ」の設定
  推進体制
○健康づくり推進協議会
●健康な町づくり推進会議の開催
●計画の中間評価と見直し事業
space space space
space
topへ TOPへ
space
数値目標の設定
   生活習慣調査などの結果から,目標を健康指標,行動指標,環境指標,意識指標のそれぞれに設定しました。そのうち10項目については,豊北町部会で決定されました。
space space
space
topへ TOPへ
space
space space space
「ほうほく元気プラン21」策定の成果
  計画の策定により,下記の点が明確になりました。
  他の課との連携が深まり,「各種事業に一緒に取り組んでいこう」という気運が高まりました。また,「豊北町部会」会員の自主的な活動につながりました。
  健康づくりは基本的に個人の問題です。その個人の行動(生活習慣)を変える手段(方法)のあり方について考えさせられました。
space space space
space
topへ TOPへ
space
今後の課題
   当プランに基づいて事業を実行していくにあたり,常に「ヘルスプロモーションの考え方」を意識しながらすすめていこうと考えています。
space space
調査員:野洲町社会福祉協議会 竹澤 良子  ヘルスケア総合研究所 正代 剛一
space
topへ TOPへ
space
space
平成14年度 Topへ戻る