<監修>
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル)理事長
山口 育子 やまぐち いくこ
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML:
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が協働する医療の実現を目的に、電話相談やセミナー等、さまざまな活動を展開。
薬は処方箋を発行した病院や診療所のそばにある薬局で調剤してもらうものーーそう思い込んでいませんか。調剤薬局は患者自身で自由に選ぶことができます。
日常的な診療や健康管理を行ってくれるかかりつけ医をもつ大切さはよく知られてきました。同じように、内科、耳鼻科、歯科、その他、どの医療機関からの処方箋を持っていっても、顔なじみの薬剤師がいる、かかりつけ薬局さえあれば、余計な薬や体質に合わない薬を飲むリスクが確実に減り、健康に関する相談も気軽にできて、体にも財布にもやさしいメリットがたくさんあります。
薬を正しく安全に使うために
調剤薬局では、一人ひとりについて、今までに調剤した薬の薬歴を一定期間保存しています。薬歴には副作用が出た薬なども記録されているので、かかりつけ薬局があれば、体質に合わない薬が処方されればすぐに分かります。薬剤師が医師に連絡し(疑義照会)、スムーズに薬を変更してもらえます。
また、複数の医療機関に通院していると、薬の重複や薬の飲み合わせでトラブルが起こることがあります。かかりつけ薬局を一つ決めていれば、それらのリスクをより確実に防ぐことができます。
薬代の節約につながるジェネリック医薬品を積極的に使いたい場合も、かかりつけ薬局があれば相談しやすくなります。ジェネリックに変更することに不安があるときは、“お試し”できる分割調剤もあります。
また、自宅や勤務先の近くにかかりつけ薬局をもっていれば、いったん処方箋を預けておいて、都合のよい時間に受け取りに行くこともできます。処方箋は発行日を含め4日間有効。例えば、預けた翌日に受け取ることも可能なので、待ち時間の節約にもなります。
薬剤師は地域の健康アドバイザー
処方された薬の効能をはじめ、飲み方や使い方、副作用などの服薬指導がいつでも気軽に受けられるのも、かかりつけ薬局のメリットです。処方箋のいらない一般薬(市販薬)やサプリメント、健康食品との飲み合わせなど、初めての薬局では聞きにくいようなことも、顔なじみになれば、緊張や遠慮をせずに聞けます。
薬だけでなく、薬剤師は病気や健康についての幅広い知識をもっています。薬歴も体質も知っているかかりつけ薬局になら、体調が悪くなったときや健康に不安がある場合にも気軽に相談できます。かかりつけ薬局はいちばん身近な医療提供施設になるはずです。
かかりつけ薬局があれば、
おくすり手帳は不要?
全ての薬を調剤してもらっているかかりつけ薬局があったとしても、おくすり手帳は必要です。
薬を処方する医師も薬剤師も、他の医療機関でどんな薬が出ているのか分かりません。おくすり手帳を見せれば、その場でどんな薬を飲んでいるのか確認できるため、必要のないものに処方箋を書く必要がなくなります。
かかりつけ薬局とおくすり手帳はどちらも大切なのです。