<監修>
医療法人社団湖聖会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長
常葉大学健康科学部 教授
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授
久保 明 くぼあきら
慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。予防医療とアンチエイジング医学に取り組み、銀座医院ではプレミアムドックを立ち上げその結果に基づく運動・栄養・点滴療法などを実践している。『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める』(講談社)など著書多数。
国立社会保障・人口問題研究所が2013年7月に公表した「生活と支え合いに関する調査」によると、20~64歳の人の約3割が過去一年間で健康診断未受診であることが分かりました。特に30~34歳の女性では、41.9%と非常に高い結果に。未受診の理由は「必要があるとは思わない」が圧倒的に多く、次いで「多忙で時間がない」との回答となりました。
気付いたときには手遅れ、では困る!
自分の健康にも体力にも自信があれば、健診の時間がもったいないと思う人もいることでしょう。しかし多くの生活習慣病は、初期には自覚症状もなくジワジワと進行していくのです。気付かないうちに予備群どころか、生活習慣病にかかっていたなんていうこともよくあります。
糖尿病を例にとってみましょう。軽度であれば、食事療法と運動療法で改善できる可能性があります。症状が進めば経口の薬剤を開始、さらに進めばインスリン注射も追加、と体への負担が増えるだけでなく医療費も膨れ上がっていきます。重症化すればするほど、医療費だけでなく通院の回数ももちろん増えます。もし糖尿病が進行して、その影響が腎臓にまで及ぶと、人工透析が必要となり、週に数回、約4時間もの時間がかかることに。QQL(生活の質)が著しく低下し、家族だんらんや趣味の時間も削られることは言うまでもありません。残念ながら健康なころに引き返すことはできないのです。
「時間がない」と健診を受けなかった結果、このような現実が待っているとしたら、本末転倒ではありませんか。病気の「芽」の段階できちんと対応していれば、健康な生活をすぐに取り戻し、医療費も通院にかかるであろう時間も節約することができるのです。
定期的な健康診断を
そこで役立てたいのが健康診断。毎年受けることにより、自覚していない体の小さな変化に気付くことができます。肝機能の数値が悪化すればお酒を控える、血糖値が高くなってきたら運動を始めるなど、ちょっとした行動変容によって病気の芽を摘むことが可能になります。健診後必要な人に保健指導を行う場合は、さらに改善できる可能性がアップ。かかりつけ医に相談するのもよいでしょう。
健康と医療費節約をぐっと身近に引き寄せてくれる強い味方、健診。活用しない手はないですよね。
過ごしていると…