<監修>
医療法人社団湖聖会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長
常葉大学健康科学部 教授
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授
久保 明 くぼあきら
慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。予防医療とアンチエイジング医学に取り組み、銀座医院ではプレミアムドックを立ち上げその結果に基づく運動・栄養・点滴療法などを実践している。『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める』(講談社)など著書多数。
体調が悪いときは、誰もが不安になりますよね。医師に診察してもらい、特に心配がないと分かると、ほっとするものです。しかし中には検査や薬の処方がないと納得できない、という人もいます。
必要がないのに治療や薬をねだる、何度も検査をしてほしいとせがむ……、そんな「おねだり受診」が実は増えているのです。
〝非〟適正受診は厳禁
注射や点滴などの治療、レントゲンや血液検査などの各種検査をすれば、当然、医療費が掛かります。本人が窓口で支払うのは、そのうちのほんの一部。その他の大部分は自分も含む加入者が毎月支払う保険料で賄われています。無駄な医療費が掛かり続ければ、結局は保険料率のアップにつながって自分にはね返ってくることに。
また、特に必要がないのに薬を「おねだり」したり、必要量よりも多く薬を出してくれるよう「おねだり」したりする行為も見受けられます。何度も医療機関に来るのが面倒だから、などとまとめて薬をもらうことは控えましょう。
「おねだり」が聞いてもらえないと、次々に医療機関を変える「はしご受診」に走る人もいます。そうすると、さらに初診料、検査料などが増えていくのです。
不要な治療・検査をすれば、医療費がかさむだけではありません。体にも負担が掛かり、もちろん時間も無駄になります。これでは体にもお財布にもやさしくはありませんよね。
もつべきものはかかりつけ医
「心配だから」「行くと安心する」などの理由で、特に疾患もないのに頻繁に医療機関に通う頻回受診・多受診も問題です。医療機関に行くたびに再診料などが発生するため、余計な医療費が掛かるのは言うまでもありません。必要であれば、医師から再受診の指示が必ずあるはず。医師の指示に従い、適正受診を心掛けることが、医療費ダイエットにつながります。
とはいえ、具合が悪ければ心細くなるもの。そもそも信頼している医師が「検査は不要」と判断したのであれば、すっと受け入れられるのではないでしょうか。
信頼できるかかりつけ医をもつことが、医療費ダイエットへの近道といえるかもしれません。
かかりつけ医とは?
かかりつけ医とは、患者の身近にあり、病気の診療はもちろん健康に関するアドバイスもしてくれ、必要なときには適切な医療機関を紹介するなど、さまざまな役割を担っているお医者さんです。
“自宅や勤務先から通いやすい”、“病気や治療方針、薬についてきちんと説明してくれる”などを条件に、理想的なかかりつけ医を探してみてください。