<監修>
医療法人社団湖聖会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長
常葉大学健康科学部 教授
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授
久保 明 くぼあきら
慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。予防医療とアンチエイジング医学に取り組み、銀座医院ではプレミアムドックを立ち上げその結果に基づく運動・栄養・点滴療法などを実践している。『人気の「これだけ健康法」が寿命を縮める』(講談社)など著書多数。
「おくすり手帳は持っていますか?」と医療機関や調剤薬局で聞かれたことはありませんか。おくすり手帳とは、服薬している薬について記録する手帳です。
持病で決まった薬を服用していても、その名称まで正確に覚えている人はまれでしょう。調剤薬局で処方せんと一緒におくすり手帳を渡せば、そのとき処方された薬の内容や量などを記録してくれます。服薬の履歴、既往歴や現在飲んでいる薬の内容を確認できる便利なツールです。
おくすり手帳を生かす
まずは基本情報を書き込みます。既往歴やアレルギー、今まで副作用を起こしたことのある薬などもあらかじめ記入しておきましょう。おくすり手帳を提示することで、医療機関にかかるたびにいちいち説明する手間が省け、言い忘れる心配もなくなります。医療機関にかかる際には、保険証同様、必ず携帯します。
おくすり手帳を使う際に大切なのは、医療機関や薬局ごとに分けずに、必ず一冊にまとめること。高齢になると、複数の持病を抱え、いくつもの医療機関にかかっているケースが多くなります。高血圧症と骨粗しょう症などいくつもの薬を一度に服用することにより、副作用が起こることも考えられます。全ての情報を一冊のおくすり手帳にまとめれば、薬品アレルギーや副作用による被害を未然に防げます。
最近はジェネリック医薬品の処方も多く、名前は違うけれど実は成分は同じ、という薬もあります。自分では気付きにくいことでも、医師や薬剤師がおくすり手帳を確認すれば、重複投与のリスクを避けられるだけでなく、医療費の無駄も省けます。あちこちの医療機関から、同じような薬を処方されている人は少なくありません。日本全体でこの無駄を省くだけでも、医療費の大きな節約になるはずです。
もしものときにも威力を発揮
外出先で体調を崩したときや、救急病院に運ばれたとき、また災害などの非常時でも、おくすり手帳は力を発揮します。東日本大震災の際には、おくすり手帳の活用により、スムーズに医療を行えたケースが多数報告されました。既往歴や服用中の薬がきちんと記録されているので、適切な治療に結び付き、おくすり手帳の有用性が再確認されました。
自分流アレンジでさらに活用!
おくすり手帳には、どんどん自分の情報を追加していきましょう。例えば、服薬後の体調の変化などを記録しておけば、次回の診察時に役立ちます。また、普段から血圧や体重をメモしたり、健康診断や血液検査、アレルギー検査の結果などを一緒にしたりしておくこともオススメ。無駄な検査を省くことにつながり、自分自身の健康管理もしやすくなります。
愛用しているサプリメントやドラッグストアで購入した薬などの情報も書き込んでおくと、役に立つこともあります。積極的に書き込み、お役立てください。