<監修>
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル)理事長
山口 育子 やまぐち いくこ
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML:
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が協働する医療の実現を目的に、電話相談やセミナー等、さまざまな活動を展開。
診察を受けるとき、何もかも医師任せにしていませんか。医師の質問にただ答えるだけではなく、患者側から情報を積極的に伝えることが適確な診断の助けになり、無駄な医療費と時間を節約できます。
まず、患者本人にしか分からない自覚症状を明確に伝えるために、いつから、どこに、どのような症状があるのか、どのような手当てをしたのか等を受診前に整理し、メモしておきましょう。現在治療中の病気や過去に治療した病気などについても説明できるようにしておくことが大切です。
また、心配なことや不安なこと、確かめたいことなどもメモにまとめておけば、聞き忘れを防げ、短い診察時間の中でも要領よく質問できます。ただし、一度に全てを確認できるとは限らないので、質問や確認したいことの優先順位をつけておきましょう。
説明を聞くときもメモを活用
その場では医師からの説明を理解したつもりでも、記憶はどんどん曖昧になっていくものです。ここでもメモを活用し、大事な情報はぜひ記録を。メモをとることで、集中して説明を聞くことができる上、患者が治療に主体的に取り組んでいることが医師にも伝わり、よりよい医療につながるはずです。医師に失礼なので
はないか、と過度に気を使う必要はありません。「メモをとってもいいですか」と一声掛けるとよいでしょう。
また、納得していなかったり、よく分からなかったりしているのに、医師に遠慮して「分かりました」というのは禁物です。分からないことは「分からない」ときちんと伝えること。内容を理解した上で、納得して前向きな気持ちで治療に臨むことが大切です。
関係づくりはあいさつから
医師と患者がお互いに信頼し合う関係から医療は始まります。よりよい人間関係を築くには、まずはあいさつから。日常的なコミュニケーションは医療機関でも大切です。受付時や診察時、「こんにちは」「よろしくお願いします」「ありがとうございます」という簡単なあいさつひとつで、良好な関係を築きやすくなります。
なかなかよくならなかったり、症状が進んだりしたときだけでなく、よくなってきたときにも「おかげさまでよくなりました」とその後の経過を伝えることも、医師とのよい関係を生み出します。そして、そんな良好なコミュニケーションがとれる「かかりつけ医」をもつことが何よりもおすすめです。
受診前にメモしておきたいこと
次のようなことをメモして、おくすり手帳と一緒に用意しましょう。余白を多目にとっておけば、医師のアドバイス等も書き込め、治療の記録にもなります。
症 状:いつから、どこに、どのような症状があったか。診察までにどのような変化があったか。別の医療機関にかかったか、市販薬を含め飲んだ薬はあるか。
病 歴:現在、治療している病気、飲んでいる薬。過去の入院、手術、通院について。
その他:薬などのアレルギー、家族の病気。酒、タバコなどの生活習慣。思い当たること。心配なこと、確認したいこと。