右は動脈硬化症の男性(67 歳)、左は健康な男性(82歳)の大腿部CT解析画像。右は血管がかたくなってはっきり見え、矢印部分に黒ずんだ骨粗しょう症の部位がわかります。反対に左のように、高齢でも動脈硬化になっていなければ、骨も若いままです。
このように、血管の老化(動脈硬化)と、
骨の老化(骨粗しょう症)は、
相互に関連し合って進行しているのです!
画像提供:東京女子医科大学解剖学 芝田高志
「丈夫な骨と、若々しい血管」。
春だからこそ、 こんな元気な肉体が欲しいと思いませんか?
実は、運動をして骨を丈夫にしていくと、 血管も若々しく丈夫になります。
その理由は、骨も血管も、同じ幹細胞で つくられる兄弟の細胞だから。
体の中のすごい秘密、骨と血管との相関関係を知って、
かしこく上手に若々しい肉体をゲットしましょう!
骨がどんどん伸びて体が大きくなる子どもの頃はもちろん、大人になっても、健康な骨は血液と同じように、絶えずうまれ変わっています。
しかし、カルシウムの摂取が足りないと、それを補うために骨の中で貯蔵されているカルシウムがどんどん溶け出してしまうため、骨の代謝がうまくいかず、丈夫な骨がつくれません。これが骨がもろくなる大きな原因です。
同時に、骨から溶け出したカルシウムが血液中に増えると、それに反応して血管がかたくなり動脈硬化が進みやすくなります。これを証明する裏づけとして、近年、「動脈硬化が進むと骨密度が低下する」ことが判明しており、骨と血管の老化は、まさに表裏一体の関係で進むことがわかってきました。
現代人は、運動不足によって骨が弱くなってきています。それと同時に、血管も柔軟性を失って、動脈硬化になる危険性が増大しています。骨が弱くなるにつれて、血管がもろくなってくるという相関関係は、現代人の現実に現れています。
実際に、「骨粗しょう症の人は、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などの発症率が、骨量の減少が軽度の人より、4年間の調査で約4倍も高かった」という報告もあります。
「骨粗しょう症なんて、歳をとってからのこと」。そんなことはありません! 運動不足、偏食、極端なダイエット、ストレス、睡眠不足、喫煙。このどれもが若いうちから骨を弱くする原因ですが、どれにも心あたりのない人のほうが少ないのではないでしょうか。こうして私たちは、20代から骨も血管も老化させているのです。
また、年代にかかわらず、お腹まわりの脂肪が気になる人は、気をつけなければなりません。
内臓脂肪が増え過ぎると、骨と血管の老化が同時に進んでしまうことが、近年の研究で明らかになっています。
上の図のように、内臓脂肪は単にエネルギーを蓄えるだけでなく、善玉、悪玉さまざまな生理活性物質を分泌しています。適切な量の内臓脂肪からは、糖尿病や動脈硬化を防いでくれる善玉物質が分泌されますが、内臓脂肪が増え過ぎると、その分泌量が減り、動脈硬化が進行します。
また、この善玉物質には骨代謝を促す働きもあり、分泌量が減れば、骨代謝がうまくいかなくなります。つまり、内臓脂肪の蓄積は、骨にとっても血管にとっても大敵。ですから、ベルトがきつくなったと思ったら、今すぐ内臓脂肪減少に取り組んで、この"負のトライアングル"からの脱出を図ること。それがW強化作戦の第一歩です。
カルシウム | 牛乳、チーズ、ヨーグルト、豆腐、 納豆、いわしの丸干し、ひじき、 こまつな、しゅんぎくなど |
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マグネシウム | 豆腐、納豆、ひじき、ほうれんそう、 さつまいも、バナナなど |
ビタミンD | さけ、さば、うなぎ、しらす干し、 乾しいたけなど |
上記でご説明した、肉体を老化させる"負のトライアングル"。ここから脱出するのは、さぞや大変と思うかもしれませんが、実はその方法は思っている以上に簡単です。適度な運動をきちんと続ければよいのです。
運動をすれば、骨に圧力が掛かるので、カルシウムが骨にしっかり固定され、骨が丈夫になります。また、血液の循環もよくなり、高血圧や悪玉コレステロールなど動脈硬化のリスクが確実に軽減します。さらに、筋肉を多く動かすことで代謝がアップし、脂肪が燃焼しやすくなるので、肥満の予防・改善にもつながります。
生活が便利になった反面、生じた運動不足がいかにあちこちに悪影響を与えているか、改めて思い知らされます。運動を続ければ、骨も血管も若返ることができるのですから!
さらに、カルシウムとその定着を助ける右記の食品も忘れずに。
これからは、屋外で体を動かすにはもってこいの季節。太陽の光によって、骨づくりに不可欠なビタミンDの合成が促されるので、さらなる骨の強化につながります。骨が丈夫になると動脈硬化も改善したという最新のデータもあります。さっそく今日から始めましょう!