暑い夏が終わり、過ごしやすい秋が来ると、 身も心もホッとします。
しかし、この一息が落とし穴。 夏の疲れがどっと出て、 体力も抵抗力も低下しがちです。
一方、空気が冷えて乾燥してくれば、ウイルスの活動はどんどん活発に。
守りが弱くなったところに強い敵が現れたら苦戦は必至です。
だからこそ、一足早く免疫力を強化して、ウイルスに負けない体をつくっておきましょう。
かぜ・インフルエンザとの戦いは、もう始まっています。
免疫力があるとかないとか、よくいいますが、免疫力を決めているのが、実は体内の白血球たちの働きです。
白血球は1種類ではなく、右に示したようにさまざまな免疫細胞の総称で、緊急防衛部隊の役割を担う免疫細胞たちは、鼻やのど、腸管などの粘膜や皮膚で、敵の侵入を阻止しようと働きます。ところがウイルスは極小サイズのため、この緊急防衛部隊の目を逃れて体内に侵入してきます。そこで防衛のカギを握るのが、パトロール部隊ともいえるリンパ球たち。連携しながら侵入した敵を攻撃します。かぜをひくと熱が出て、のどや脇の下などが腫れるのは、彼らが体内で敵と戦って起こしている炎症です。
寝不足だったり、疲れがたまっていたりすれば、免疫力が下がります。免疫細胞たちの働きは、思っている以上に生活習慣の影響を強く受けています。
そこで免疫力を強化しておくためには、まず生活を見直してみましょう。そして、下に挙げた3つのポイントをしっかり実践しておきましょう。
特に免疫細胞の材料となる良質のたんぱく質と、その活動を助けてくれるビタミン類は過不足なくとりましょう。そして、睡眠をしっかりとれば、眠っている間に元気なリンパ球がたくさんつくられます。
ストレスがかかると、体内で増えるストレスホルモンがリンパ球の働きを抑制します。秋の夜長に、入浴などのリラックスタイムで心身の緊張をほぐし、ストレスを和らげましょう。
リンパ球のB細胞は1度侵入したウイルスを記憶して、次に侵入されたときには、より早く強い抗体をつくる特性があります。予防接種は病原性を取り除いて無毒化するか、ごく弱くしたウイルスを体内に入れ、あらかじめ強い抗体をつくっておくための知恵。本物のウイルスがやって来ても、強い抗体で攻撃できるので、発症を防いだり軽く済ませたりすることができます。
インフルエンザの主な感染ルートは、くしゃみや咳などの飛沫によって感染する飛沫感染、屋内で飛び散ったウイルスが空気中に漂って感染する空気感染、ウイルスが付着したものに手で触れて目・鼻・口などから感染する接触感染の3つです。
インフルエンザに感染すると、一般的なかぜの症状に加えて、急な発熱や筋肉痛・関節痛などの全身の症状が強く現れます。「あれ?もしかして…」と思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。
子ども・高齢者・妊娠中の人・持病がある人は、抵抗力が弱く重症化する傾向にあります。子どもは中耳炎や気管支炎を起こすことがあり、インフルエンザと気付かれずに悪化させてしまうケースがあります。高齢者はインフルエンザの症状が出にくいため、急に元気がなくなる・食欲がなくなるといった症状に要注意。妊娠中の人・持病がある人は、感染した場合の対応をかかりつけ医などに相談しておきましょう。
インフルエンザの流行期は、例年12月下旬から3月上旬くらいで、春になると徐々におさまっていきます。流行期に備えるためには、10月中旬から12月上旬くらいまでに予防接種を受けるのが理想的です。
厚生労働省
● インフルエンザQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/
kekkaku-kansenshou01/qa.html
国立感染症研究所感染症情報センター
● インフルエンザQ&A
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/
fluQA/index.html
日本医師会
● インフルエンザQ&A
http://www.med.or.jp/jma/influenza/