目指せ!健康マイスター

監修石橋 英明いしばし ひであき

伊奈病院副院長 高齢者運動器疾患研究所代表理事

1988年東京大学医学部卒業。2004年より現職。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、関節外科。

カギは食生活と運動! 骨粗しょう症を防ごう

骨の強さは骨密度と骨質で決まる

骨粗しょう症は、さまざまな原因によって骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。高齢者の場合、それがもとで要介護状態や寝たきりになることも少なくありません。患者の多くは閉経後の女性ですが、最近はカルシウム不足や極端なダイエットにより、若い女性にも骨の弱い人が見られるようになりました。

骨粗しょう症を防ぐには、骨に含まれるカルシウムの指標となる骨密度を増やすことが大切です。しかし、近年、骨密度が高いだけでは骨折は防げないことが分かってきました。骨を建物に例えるなら、コンクリートがカルシウム、鉄筋がコラーゲン。建物は、コンクリートの量が多くても、鉄筋の量が不足していたり質が悪かったりすれば、もろく倒れやすくなります。骨も同じ。骨密度だけでなく、骨質も高めることが必要です。カルシウムはもちろん、骨のコラーゲンの劣化を防ぐビタミンB6、ビタミンB12や葉酸などが含まれる食品もとるようにしましょう。

骨粗しょう症の原因には、加齢など避けられないものもありますが、生活習慣の見直しで回避できるものも(下記参照)。骨密度が減少する中高年以降でも、骨に必要な栄養素をとり、運動を習慣化すれば、骨の強さを維持できます。ぜひ、実行しましょう。

骨の構造 コラーゲン=鉄筋 カルシウム=コンクリート

骨粗しょう症の主な原因 「避けられないもの」:加齢・閉経 「避けられるもの」:やせ過ぎ・多量飲酒・極端なダイエット・運動不足・偏食・喫煙

骨粗しょう症を防ぐ食事&運動

食事 カルシウムの多い食品を積極的にとる マグネシウムの多い食品をとる カルシウムとともに骨に大切な栄養素をとる ビタミンD ビタミンK タンパク質

運動 ウォーキング:歩くことで骨に不可が掛かり、骨を丈夫にします。 背筋運動:背筋を鍛えると背骨の骨密度の低下を抑え、圧迫骨折を防ぎます。

骨粗しょう症検診を受けよう! 骨粗しょう症検診は、市区町村の健康増進事業として、40~70歳の女性を対象に5歳刻みで行われています。また、健診や人間ドックのオプションとして受けられる他、整形外科などで受けられることも。女性は40歳から閉経前後までに1度は骨密度を測定しましょう。また、70歳以降は骨粗しょう症検診の対象年齢を超えますが、腰痛がある、身長が低くなった、背中が丸くなってきたなどの症状がある場合は、整形外科を受診して骨のチェックを受けましょう。