かぜの症状としてよく見られる鼻水・鼻づまり。この症状は、かぜの原因となるウイルスが鼻の粘膜に付着し、炎症を起こすことで引き起こされます。
鼻には、鼻腔(びくう)と副鼻腔という空間があり、軽いかぜなら鼻腔に炎症を起こした「急性鼻炎」で済みます。
しかし、炎症が奥にある副鼻腔まで及ぶと、「急性副鼻腔炎」を引き起こします。急性副鼻腔炎になると、炎症によって鼻粘膜の働きが落ち、鼻の自浄作用が低下します。粘膜が腫れることで十分な換気ができなくなり、副鼻腔内で細菌などが増殖して、炎症がさらに悪化します。鼻水は粘度を増し、喉へ流れることも。額や目の周りの痛みや重苦しさも代表的な症状です。
急性副鼻腔炎の多くは1カ月ほどで自然に治りますが、3カ月以上症状が続くなら慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を引き起こしていることもあります。慢性副鼻腔炎になると、常にドロドロした鼻水や鼻づまりがあり、臭いがわかりづらくなることも。放置すると鼻タケというポリープができ、手術が必要になるケースもあります。
鼻水・鼻づまりの症状が長引くときは、単なるかぜと侮らず、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。特にアレルギー性鼻炎やぜんそくのある人は、副鼻腔炎に移行しやすい傾向があるので注意が必要です。
市販の鼻炎用の点鼻薬の一部には、鼻粘膜の血管を収縮させて、腫れを抑え、鼻づまりを軽減する効果があります。30分程度で鼻が通って効果を実感できますが、数時間で効き目はなくなります。
このタイプの点鼻薬は、長期間使い続けると、鼻粘膜が厚くなって元に戻りにくくなり、鼻づまりがひどくなることも。使うなら、症状の強いときに1日2、3回にとどめましょう。鼻づまりを改善したいなら、耳鼻咽喉科を受診して、適切な薬を処方してもらうのが一番です。