目指せ!健康マイスター

監修小川 郁おがわ かおる

慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科 教授

1981年慶應義塾大学医学部卒業。ミシガン大学クレスギ聴覚研究所研究員、東京電力病院耳鼻咽喉科副科長などを経て2002年より現職に。専門は、難聴・耳鳴り、聴神経腫瘍、内耳生化学。

自律神経の乱れが原因かも 春に起こる「めまい・耳鳴り」

気候や環境が変化する春は自律神経が乱れがちに

春は、自律神経失調症の症状として、めまいや耳鳴りが現れやすくなります。

自律神経とは、私たちが生きていくために必要な体温や血圧、内臓の働きなどをコントロールしている神経で、交感神経と副交感神経があります。日中は交感神経が優位になって血圧や心拍数を上昇させ、活動的に動けるようにしています。そして日没後は、副交感神経が優位になり、血圧や心拍数を下げて心身を休めるよう、上手にスイッチの切り替えをしています。

しかし、このスイッチの切り替えがうまくいかないと自律神経の働きが乱れてしまい、交感神経が過剰に働くと血管が収縮し、全身はもとより平衡感覚をつかさどる耳や脳への血流も悪くなります。

また、「寒の戻り」という言葉がありますが、春は暖かい日が続いても強い寒気が流れ込むと急に冬の寒さに戻ります。激しい気圧の変化や寒暖差は、自律神経が乱れる一因です。さらに、春は職場環境や人間関係の変化でストレスが生じやすくなり、自律神経に悪影響が及ぶことで、めまいや耳鳴りが起こりやすくなります。

なお、最近は突発性難聴などが、若い人にも増えています。めまいや耳鳴りが生じたら、まずは受診して原因を調べることが重要です。

自律神経は、規則正しい生活習慣と、上手にストレスを解消することで、バランスを整えることができます。春を元気に過ごすためにも、生活習慣の見直しから始めてみましょう。

自律神経の乱れの引き金になるもの ストレス 寝不足など不規則な生活習慣 冷え 目まぐるしい気圧の変化 激しい寒暖差 ホルモンバランスの乱れ

めまい・耳鳴りを予防・改善 自律神経を整える生活習慣

1日3食、できるだけ決まった時間に食事する 上手にストレスを解消 十分な睡眠をとる 首や方の筋肉をほぐす 首のリラックス 肩のリラックス