目指せ!健康マイスター

監修山科 章やましな あきら

東京医科大学名誉教授

1976年広島大学医学部卒業、聖路加国際病院内科医長、東京医科大学教授を経て現職に。専門は、循環器内科学、虚血性心疾患、心臓核医学、動脈硬化。

今からでも遅くないしなやかな血管を育てよう!

血管ケアのカギは内皮細胞の機能改善

私たちの体には、地球を2周半もする長さの血管があり、その中を血液が流れ、酸素や栄養素を運搬し、老廃物や二酸化炭素を回収しています。そのため、全身を巡る血管の通り道が狭くなったり劣化したりすると、血液の仕事に支障が出てきて、全身にさまざまな悪影響を及ぼします。

血管が劣化する一番の原因は動脈硬化で、厚く硬くなることです。加齢とともに血管が老化して硬くなりますが、それだけでなく生活習慣や病気も関係します。若いからといって、血管の状態も若いとは限りません。

若々しく健康な体をつくるには、とにかく血管を若く保つこと。そのカギを握るのが、血管の内壁に並んでいる内皮細胞です。内皮細胞には、血管をしなやかに保つ物質を分泌して、血管壁に侵入したコレステロールが動脈硬化の進行を防ぐ働きがあります。ですから内皮細胞の機能が低下することで、実年齢が若くとも血管の老化が進んで、狭心症や脳卒中などの病気になりやすくなります。

内皮細胞を元気に保つには、食習慣の改善や運動習慣を心掛けることが欠かせません。血管は修復可能なもの。今日から生活習慣を改善して、しなやかな血管にしていきましょう。

動脈硬化の引き金となるもの 肥満 運動不足 喫煙 高血圧 糖尿病 脂質異常症 骨粗鬆症 睡眠時無呼吸症候群 以上の要因が1つでもあると、動脈硬化になるリスクは高くなります。

血管(動脈)の構造 動脈は外膜、中膜、内膜の3層構造になっています。正常な動脈は、やわらかく弾力性があって、血管の中を血液がスムーズに流れています。

血管をしなやかにする食習慣&運動習慣

食 肥満を予防解消するためにも、腹八分目を心掛けることを忘れずに。 野菜を積極的に食べる 青背の魚をとる 減塩する

運動 少し汗ばむ程度の運動を継続して行いましょう。 スロージョギングや速歩 ベンチステップ運動 心臓に負担がかかるので、血圧の高い人や心臓病の経験がある人は医師と相談し、無理をせずに行いましょう。また、膝や腰に痛みを感じたらすぐに中止してください。